(武田八幡宮三の鳥居から茅ヶ岳を望む)
2023年の恵方参り。八ヶ岳南麓大泉の我が家から南南東へ約18kmの地点にある武田八幡宮に行ってきた。
私は信仰心というものを微塵も持っておらず、「魂の不滅」なんてのは一切信じていない。
世界人口は2022年11月に80億人を突破したという。つまり、人間以外の生物には魂はない(と子供の頃に読んだロビンソンクルーソーに書いてあった)とすると、稼働中(というのだろうか)の魂は80億個ということになる。
国連その他の推計によるとキリストが誕生した頃の世界人口は3億人だったというから、この2000年ほどで魂は分裂増殖したのだろうか。それとも元々もっとたくさんの魂が存在していて、常に空き(=新たなヒトの誕生)を待っている状態なのだろうか。分裂増殖するのだとしたら、それは魂というより細胞そのものだろう。
さらに疑問なのが138億年前のビッグバンの時である。この時点で魂は存在していたのか、それともビッグバン以降にどこからともなく湧いてきたのだろうか。
そうはいいながらも私は恵方参りのごリヤクをどこそこ信じている。そこには我々が理解できていない科学的な効用があるかもしれないのだ。
ビッグバン以降膨張に膨張を続ける宇宙だが、
「やがて熱エネルギーも運動エネルギーも均質化して膨張が終わり、今度は引力の作用で収縮が始まって最後の最後はビッグバン以前の状態に戻る」という循環宇宙論が唱えられていた時代が
あったが現在では否定されつつある。
宇宙の膨張速度は衰えるどころか今でもさらに加速しているというのだ。
その原因は我々が窺い知れない未知のエネルギー(ダークエネルギー)、未知の物質(ダークマター)が宇宙に満ち満ちていることによる。
最新の研究では宇宙の構成要素は、
ダークエネルギー 68%
ダークマター 27%
観測可能なもの 5%(水素、ヘリウムなど)
といわれている。人間の叡智が及ぶのはごくわずかなのである。
前置きはこの位(長いな)にして、武田八幡宮は西暦822年嵯峨天皇の勅命によりこの地に勧請された。ご祭神は武田武大神(タケダタケノオオカミ=ヤマトタケルのせがれ)、誉田別命(ホンダワケノミコト=応神天皇=八幡さまの大元締め)。
ちなみに躑躅ヶ崎館跡に建立された武田神社(ご祭神武田信玄公)と武田八幡宮は全く無関係である。
(門(随神門)をくぐると正面が神楽殿という奇妙な配置 神社というより軍の集結拠点という印象だ)
武田八幡宮は甲斐武田家の氏神であった。
西暦1130年(大治5年)甲斐武田家の祖源義清・清光親子が元々住んでいた常陸国那珂郡武田郷から放逐され八ヶ岳南麓に逃げてきた。
当初親子は故郷にちなんで武田を名乗っていたが、勢力拡大とともに清光は逸見姓を名乗るようになる。
その後清光の子信義は武田八幡宮で元服式を挙げ、その際に武田姓に復した。逸見姓に障りがあって祖父の代の名乗りに戻したのか、それとも武田八幡宮のごリヤクにあやかったのかは今となっては定かではない。
(神楽殿 信濃出兵の際にはここで戦勝祈願を行うと同時に信玄公が神楽殿に鎮座して武将たちに下知したのだろう)
(拝殿 神楽殿からさらに階段を上がったところにある)
拝殿に遮られて正面からは見えないが、後ろに本殿がある。
西暦1541年(天文10年)に武田信玄公が建立したものだ。この翌年武田勢は諏訪に侵攻した。
(本殿 1931年国宝指定(のちに重文に))
人っこ一人いないのを幸い、拝殿前で大音声でお願いした。
「北杜市大泉西井出~(←地元民であることをアピールして歓心を買おうとしている)、ゆるふわ~、昭和32年〇月×日生まれ65歳~、家族の健康をお祈りいたします~」
やがて本殿の奥で幽かに衣擦れのような音がした。
「ゆるふわと申せし者、恵方をたどりてこなたに詣でしことこそ神妙なれ。その方の願い、聞き届けたり~」
どうやら今年もよい一年になりそうだ。