(カボチャ畑越しの富士山)
八ヶ岳南麓に家を建ててからもうすぐ7年。
下水道が通っていない我が家は合併浄化槽を使っているが、定期点検をお願いしている「山梨日化サービス」(いつもキチンとやってくださるよい業者)から、そろそろ浄化槽の清掃(汲取り)をした方がよい、との指摘があった。
(我が家の快適生活を支える合併浄化槽 ハウステック社「ハイバッキーKTG-5」)
北杜市では汲取りは市の指定業者のみが行えることになっており(たぶん全国同じだろう)、我が大泉町の場合は3社が指定業者となっている。値段はどこも同じなのでそのうちの1社にさっそく汲取りを依頼した。
浄化槽利用者には浄化槽法で定められた三つの義務がある。すなわち、
定期点検(年4回)
清掃(年1回)
法定検査(年1回) である。
このうち定期点検は、浄化槽のパフォーマンスが落ちると悲惨なことになりかねないからキチンとやった方がよい。清掃(汲取り)もしかりだ。
意義が全く理解できないのが「法定検査」である。
自治体が指定した点検業者がきちんと点検しているのに、何故屋上屋を重ねる検査が必要なのか。
3年ほど前「山梨県森林環境整備部大気水質保全課長」なる人物からハガキが来た。曰く、
「あなたが北杜市大泉町〇〇に設置された浄化槽は、前回の法定検査の受検から1年以上が経過し浄化槽法第11条に基づく法定検査が未受検となっています。
ついては検査機関(一般社団法人山梨県浄化槽協会)に検査を依頼し、法定検査を受けて下さい」
このハガキをもらった方はよく分かるだろうが、書面には通し番号や浄化槽所有者識別番号のような管理用の記号も一切見当たらない実に安っぽい内容である。
法定検査未受検に対する罰則は30万円以下の「過料」となっている。
過料というのは単純行政罰の総称で、罰金(=刑事罰)と違って前科がつかない。まあ前科がつこうがつくまいが再就職も叙勲の期待もないゆるふわ生活には関係ない。
イザとなれば「いい加減なハガキなので詐欺だと思った」と言い訳すればいいや、ということでほったらかすことにした。
現在全国には約750万基の浄化槽がある(2020年度末値)。
環境省の調査によるとこのうち法定検査を受検しているのはわずか40%。法を無視する不埒者が多いことよりも、むしろ正直者が4割もいる、という事実に驚くべきかもしれない。
浄化槽法に基づいて未受検者連中に過料を課すためには、都道府県知事の指導、助言→勧告→命令という手順を踏まねばならない。
2017年度における全国の命令数はわずかに7件。つまり行政も「払ったヤツからもらっとけばいいや」という安直な態度なわけだ。
それだって、
受検料5000円(山梨県は4500円)×750万×40%=150億円のあぶく銭 が全国浄化槽協会に入ってくるんだからウハウハだろう。
我が国はセコい利権のオンパ レードだ。
・ 1957年からこっち国内で発生例がない狂犬病の予防接種(20万円以下の罰金 私はもう止めた)
・ 1905年以来クルマの飛躍的な性能向上を無視して連綿と続く車検制度(6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金)、
・ 役所、地域センター等に溢れかえる誰が読むとも分からない印刷物・・・
これらの典型が浄化槽の法定検査である。
督促を無視して3年。今ではハガキも来なくなった。