(自分の寝床で爆睡中のそら)
愛犬そらは8歳半。人間で言うと定年退職間近のおっさんである。
最近は誰に似たのかすっかり「ズボラ犬」になって、日がな一日中ゴロゴロしている。
それ以外の変化といえば、
「ヒキコモリ犬」
散歩を面倒くさがる。散歩は完全にトイレタイムだと認識していて、用を済ませるとすたこらさっさと帰り
たがる。
「老犬性アパシー」
他犬に関心がなくなってきた。子供の頃からどういうわけだか好きだったトイプードルに出くわした時に
はキューキューと媚びた声は出すものの、自分から近づいていこうとはしない。
「キレる老犬」
食い意地だけはますます亢進しているらしく、メシの量が少ないと、食器をひっくり返したり、フード容器
の蓋をバシバシ叩いたりとキレまくり。
といったところ。
もうひとつ目立つのが寒がりになったことである。運動不足やら加齢で基礎代謝量が減り、体温が低下しつつあるのだろう。こういうマネしなくてもいいところは飼い主を見習うから困ったものだ。
ここのところ夜遅く帰る日が続いた。
かつては玄関、階段のところまで迎えに来た愛犬はちっとも姿を見せないで、代わりに私のふとんを
わがもの顔で占拠している。どうやら羽根布団が至極快適らしいのである。
(飼い主の帰宅が待ち遠しかった頃のそら)
(今は千載一遇のチャンスとばかり私のふとんを占拠している)
追っ払うと退散する時はまだ可愛いのだが、敵は次第に実効支配を強めてきていて、
「ガウガウガウ(オマエこそ出てけ!)」と、主人に対して凄い剣幕で唸ることもある。こういう事態に遭遇してみると、尖閣防衛もウカウカできないことが身に染みて理解できるというものだ。
幸先よく排除に成功した夜も油断はならない。
明け方頃突然金縛りにあったように身体が重くなることがある。はっと目を覚ますと、寒さを逃れようとしてそらがふとんの上にどかっと乗っているのである。身じろぎでもしようものなら、
「ワワワン(動くな!)」と大音声で吠えるからじっと身をすくめているしかない。私が坐骨神経痛を患った原因はここにもある、と私は睨んでいる。
(体重20キロの物体にこういうふうに乗られると漬物石に乗られた白菜のような気分になる)
老犬とのバトルは来年春、サクラのつぼみが膨らむ頃まで続くだろう。
なんとも厄介なヤツだが、出来ることならばそらを看取ってから人生を終えたいものだ。
(3年前の写真 考えてみれば昔から寒がりだったっけ)