(創業150年「日本秘湯を守る会」会員「赤石温泉」 高齢のご夫婦が二人できりもりしている)
白根山麓に位置し、富士川の支流戸川のほとりに佇む一軒宿「赤石温泉」。八ヶ岳南麓大泉から赤石温泉までは中央道、中部横断自動車道で50km、1時間足らずの至近の宿である。
山梨県でも日々新型コロナの感染者が増えつつある中、不謹慎とは思いつつも赤石温泉に投宿して恒例の囲碁合宿を開催した。
今回合宿に参加した囲碁フリークは私を含めて8人。一泊二日で全7局のリーグ戦を戦い雌雄を決しようという目論見である。
幸い宿は貸し切り、メンバーは二人ずつ4部屋に分かれて泊まることになった。
昔は相当美人だったと思わしき女将さんが笑顔で我々を迎えてくれた。聞けば女将さんは東京のご出身で、縁もゆかりもないこの土地に嫁いできた時は想像以上の山深さに度肝を抜かれたそうだ。
「お客さんたちは皆さん東京?」
「いえ、私以外は北杜市です。あ、私も普段は北杜市ということで」
「北杜市だとここより涼しいですね」
赤石温泉は標高800mだから、たしかに八ヶ岳南麓大泉の方が涼しい。
午後2時チェックインと同時に対局を開始した。
対局場は離れの大広間(無料)。普段は団体旅行や合宿での利用も多いらしく、大広間には舞台や
カラオケセットも用意されている。
参加者の一人がわざわざ富山から取り寄せてくださった鱒寿司をツマミにビールを飲みながらの
対局である。
(このサイズのやつを2桶 1桶4000円ほどするらしい)
一泊二食1万円の宿ゆえメシを期待するのは図々しいというもの。
ところが案に相違してキチンとしたものを出してくれたものだから、もはや食欲以外の煩悩とは縁のない一同は大喜びである。
(馬刺し、鯉の洗い、ニジマス焼き、野菜天ぷらなど
ごはんの際に熱々の鯉こくを出してくれたがこれがまた旨いこと)
対局がタテこんでいるものだから、せっかく秘湯に来たのに一同中々風呂に入れない。
それでも対局の合間をぬって皆さん一度は浸かることができた。
(含鉄泉 湯音はわずかに13℃だがほどほどに沸かしてある 露天風呂は土日のみ)
対局と飲み過ぎでヘロヘロとなった一同は翌朝近所の蕎麦屋「みさき耕舎」へよろばうように転がり込んで、性懲りもなく再び対局を始めた。
こうなることは火を見るより明らかなので、幹事が(←私)機転を利かして前日に座敷を使わせていただけるよう頼んだおいたのである。
「成駒屋!」
「さすが大幹事」
大向こうから声がかかる。幹事冥利に尽きる瞬間だ。
(富士川町の第3セクターらしい)
そこで食った昼メシの旨くて安いこと。
(そば定食 打ち立ての蕎麦と天ぷら
これに巨大梅おにぎり(パリパリの海苔で巻いてある)とコーヒーがついてわずか1000円)
横谷温泉、裂石温泉と続いた囲碁合宿であるが、一同「次回もここがいい」ということで一致。
お土産に「ぼっちゃんカボチャ」を買ったりして、一同家路についた。