新たな土地も手に入れ、工務店との契約も終わっていよいよ終の棲家造りに取り掛かることになった。
工務店との何度かの打ち合わせを経て家の骨格が固まった。1階に寝室2室を配置し、2階をLDKにする。さらに収納スペース兼臨時の寝室も兼ねてロフトを設けることにした。
ロフトはその分コストがかさむうえ、建物が高くなるせいで北側斜線の問題が厳しくなる。我が家の場合北側に奥行2m×幅10m、約6坪ほどの何の使い途もないスペースが生じることになった。
これが土地が広く、坪単価も4万円程度の八ヶ岳南麓ならこの程度のデッドスペースは全く気にならない。皆さん建物と北側境界線との間隔はもっと大きく取っている。
(我が家からほど近い400坪の売地 東側舗装道路、上下水道あり 大泉では一等地といってよい
価格は1800万円、坪単価4.5万円の高級物件 「ふるさと情報館」HPより)
ところが東京の土地となるとそうはいかない。
6坪の土地には1000万円前後の価値があるわけだから、私に限らず東京で家を建てる方にとっては北側のデッドスペースは大問題だ。
最終的にはイナバの物置なんかを設置するという東京でよく見かける活用策もあるが、それは最後の手段。なんかよい工夫はないかと工務店をせっつくと、いろいろ出てきた。
案① 北側屋根勾配を6寸から7寸勾配に変更する 採用
東京の住宅の屋根は多くの場合6寸勾配(タテ6寸ヨコ1尺の勾配= tan 30°に近似)であるが、
これを7寸勾配にすると同じ高さを取るのに屋根の長さを減らすことができる(下の図参照)。
私のイイ加減な試算では我が家の場合およそ50センチ建物を北に寄せることが可能となるからバカ
にできない。これで1.5坪ほどのスペースを南に回せることになる。
7寸勾配にすると建築の際に屋根足場を設ける必要があったりして建築費用が10万円ほど増えるら
しいが、それよりも土地の有効活用の方がはるかに価値がある。
案② 1階の天井高を230センチにする 採用
最近の住宅は天井高240センチというのが標準らしいが、これを230センチにすると家を約15セン
チ北に持っていくことができる(上の図参照)。
1階は主に寝室なので「天井が低い」と感じることもないだろうということで、これも採用。冷暖房の
コストが若干なりともセーブできるというおマケつきだ。
なお建築基準法が定める最低天井高は210センチであるが、和室ならともかく実際体験してみると
圧迫感がものすごい。「鴨居に頭をぶつける外国人」というのは邦画でよく見るシーンだが、なんだか自
分がその外国人になったような気分になる。
案③ 基礎高を30センチにする 不採用
工務店の標準は40センチだが、これを30センチにすると案②と同じく建物を15センチ移動できる。
建築基準法の定める基礎の最低高は30センチだから、法律上の問題はない。
また洪水なんかの時には当然基礎が高ければ高いほど被害を少なくできるわけだが、幸いそんな
心配はなさそうな立地である。
唯一懸念されるのが万が一の際の床下点検が大変だということ。私が潜るわけではないが、床と基
礎コンクリートの間に挟まって進退窮まった自分の姿を想像したらなんだか気持ちが萎えてしまった。
おおどころが決まればあとは色だ材質だというコマコマしたことが検討の中心になる。
近々建築確認を申請して、竣工引き渡しは2022年2月末の予定である。