(代官山駅 外観は変わったがショボさは当時とそれほど大差ない)
「美空ひばり記念館」には代官山駅から歩いて行ったのだが、考えてみると代官山を訪れたのはおよそ30年振りである。
今は亡き義兄のクルマに乗って代官山ヒルサイドテラスの「Tom'sサンドイッチ」に初めて来たのがかれこれ40年前のこと。当時会社のテニスコートがさほど遠くない所にあったこともあって、その後昼メシなどでしばしばこの街を訪れるようになった。
(Tom'sサンドイッチがあった場所 惜しいことに同店は去年までここで営業していたらしい)
かつての代官山はヒルサイドテラス周辺にこじゃれた店が散見された程度で、全体としては古びた住宅街だった。その大きな要因となっていたのが街の中心部をドッカリと占めていた同潤会アパートの存在であった。
(昼なお鬱蒼とした往時の代官山アパート 1927年落成、1996年取り壊し)
兄弟分の表参道同潤会アパートも昭和の末期には相当老朽化していたが、所詮代官山の比ではない。なんせこちらは植え込みが多くて昼なお暗い密林で見つかったアンコールトムのような風情だったのである。
そんな代官山の景色を一変させたのが、跡地に建てられた「代官山アドレス」である。以来代官山は
「オシャレな街」路線をひた走ることになったらしい。
(天を衝く「代官山アドレスタワー」 この界隈では唯一のタワーマンション)
そんなオシャレな街にも昭和の風情があちこちに残っている。
(道が狭すぎて開発できそうもない)
(きれいに整備されているがクルマの往来は不可)
代官山アドレスから線路沿いを渋谷駅方面に徘徊する。
30年の歳月はやはり重く、当時の店はどこにもない、と思ったらありました。
メキシコレストラン「ラ・カシータ」である。
(1976年開業 当時はハラペーニョ系統を食わせる店は稀有だった 残念ながら平日の昼は休み)
レストランの角を八幡通り方面に進んで、かつての同潤会アパートへのトバ口に差し掛かると、何度か世話になった蕎麦屋「福招庵」が健在であった。
(開業時期不明 中を覗いてみると店主が若い 二代目か三代目か)
ここでカツ丼でも食おうかと一瞬気持ちが動いたが、懐かしいとはいえ何も代官山でカツ丼を食わなくてもよい。もっとハイカラなもの、例えばカレーなんかがいいだろう。
八幡通りをヒルサイドテラス方面へと遡る。途中「シェ・リュイ」でお土産のクッキーを買った。
(かつての記憶と場所が違う 1975年代官山で1号店開業)
角を曲がるとこれまた懐かしい店が。和食の「末ぜん」だ。
(開業1967年 ここの店主もエラい若かった)
店先に掲げられた品書きを見るとカキフライがあった。
う~む。こんな所で出くわしたのが百年目、今日はこの辺で手を打つとしよう。
(やや大きめのカキが5個 1400円なり)
久しぶりのカキフライ。なんだか昭和の味がした。