野鳥の巣箱だが、三つとも揃いもそろって借主が現れなかった(まあ詳しくはこの辺の記事をご覧ください → ここです )。
(ひっそりと佇む1号棟の様子)
そんな私を哀れに思ったのだろう、ご近所のSさんが「これ、庭に置いとけし」とミツバチの巣箱を貸して
くださった。Sさんは多趣味な方で、そのひとつが養蜂なのである。
巣箱は一斗缶よりひと回り大きなサイズで、中はがらんどう、箱の下部に幅1センチ程度の出入口がついている。
(ただの冴えない箱だが アプローチの蜜蝋には誘因効果があるらしい)
(横からみるとさらに冴えない)
これを置いておけばあら不思議、ミツバチが勝手に入居してくるという。ホントか?野鳥の巣箱のほろ苦い記憶が去来する。
「なにかすることは?」
「なにもないよ」
「・・・。庭に野鳥がいっぱい来ますけど。ミツバチ食われちゃうんじゃないでしょうか」
「ははは。いいさよ~、ミツバチは気にしないよ」
「ははは。(気にするのはオレだってば)」
我が国のミツバチには在来種のニホンミツバチと輸入種の西洋ミツバチとがあり、プロの養蜂家は西洋ミツバチを管理飼育している。
一方趣味の養蜂は自然分蜂したニホンミツバチを「あなた任せ」で飼育するものだ。つまり野鳥の営巣と基本原理は同じである。
(西洋ミツバチの方がやや大きく黄色味が強いらしい 「うじはらファーム」様の写真)
ちなみに自然界には西洋ミツバチはほとんど存在しないらしい。
彼らの故郷(ヨーロッパ)には天敵のスズメバチがいないため、対処のしかたを知らない西洋ミツバチはスズメバチに襲われると全員で戦って枕を並べて討ち死にしてしまうというのである。勇壮で、そして哀れな話である。
我が国の養蜂の現状は農林水産省畜産振興課(養蜂はいちおう「畜産」ジャンルらしい)によると、養蜂業者は全国で9578、「養蜂蜂群」(巣箱数のことか?)は21万3000である(いずれも2018年1月現在)。養蜂業者が最も多いのはお隣の長野県、次いで和歌山県、静岡県、岐阜県となっている。山梨県
には我が北杜市も含め約30戸の職業養蜂家がいらっしゃるようだ。
(山梨県養蜂協会2013年資料より)
これらの養蜂家の方が生産する蜂蜜は年間2800トン(国民一人当たり23グラム)で、自給率はわずか6%に過ぎない。輸入の大半はあの中国産だから、国産はそういう意味でも貴重である。
なお、「養蜂振興法」によると(どんなものでもこの手の法律がある)、業とするか否かにかかわらず
養蜂をする者は都道府県知事に届出をしなくてはならない。
ところが「一般社団法人日本養蜂協会」(こういうのも必ずあります 理事長は大島理森衆議院議長)のQ&Aや、農林水産省、山梨県庁のHPを見ても「何故趣味の養蜂も届出をしなくてはならないのか」には言及されていない。 おそらく「振興法」の手前、手っ取り早く養蜂家の数を増やす必要にかられたのであろう。
「当分は何もしなくていいとして、ミツバチが住みついたらどうすればいいですか」
「ははは。滅多に住みつかないよ。宝くじみたいなもんだよ」
「・・・(なんか退屈だな~)」
「(こいつメンド臭いのかな)大丈夫、蜜はオレがとってやるから」
「・・・(う~ん、それだとますます退屈かも)」
「あ、蜜はちゃんとあげるからね」
このままでは蜂蜜はゲットできたとしても、「チャレンジ!」というのは憚られる。
とはいえ、「趣味は養蜂です(きっぱり)」というのは、カッコいいことはカッコいい。とりあえずは、Sさんから渡されたDVD「養蜂入門」をじっくり鑑賞してみることにした。