(森はすぐそこまで迫っている)
台風13号が八ヶ岳南麓大泉の地を直撃しそうだ、ということで、天気のいいうちに枯れ草、枯れ枝を燃やすことにした。南西風という絶好のたき火日和である。
何故南西風がよいかというと、ドラム缶の西にはWさんの家があるからである。Wさんは「大泉ではたき火は禁止」と固く信じていて、ご近所で唯一たき火をしない。
ほかの方たちはお互い様なのでどうということもないが、Wさん方面に煙がいくのはマズい。
大量に生乾きの枝や草をロズウェル君(非日常的な形状から私が命名)に放り込み、灰の取り出し口からカセットバーナーで火をつける。
やがて煙がもうもうと出始めた。不完全燃焼を象徴するようなちょっと黄色がかった禍々しい煙である。
(たき火終了間際の様子 最初はもっとすさまじい煙が立ち昇った)
中々燃えないねえ、とロズウェルの中を覗きこんだり、風向きが急に変わってWさん方面に煙が行きそうになるたび風の上流に立って煙の向きを変えようと奮闘すること30分、気がつくと頭がガンガン痛み出した。
軽度の一酸化炭素中毒である。医者に行ったわけではないが、まず間違いない。
(「血中COヘモグロビン濃度」が15~20%になった模様)
夜になっても頭痛は消えない。
いつしか眠りについたのだが、軽い脳のダメージのせいだろう、変な夢を見た。
周囲の森の樹が大挙して私の寝室に押しかけてきたのだ。
どうも襲うとかそういう感じではなく、お見舞いに来てくれたようで、夢の中の私は恐縮して樹々の間をすりぬけて扇風機をつけてあげたりしている(実際朝起きると消したはずの扇風機が回っていた)。
フロイト博士の「夢判断」によれば、夢はすべて無意識下に抑圧された欲求の代償行為だという。
この妙な夢に隠された「私の抑圧された欲求」とは一体なんだろう。
・ みんなに好かれていつも仲間に囲まれているナイスガイの自分
・ 一発逆転社長になり、部下に胴上げされる自分
・ モテモテのハーレムで暮らすオットセイの自分
・・・ いくら考えても分からない。そしてたき火から24時間以上を経過した今でも頭はズキズキと痛んでいる。
室外環境で一酸化炭素中毒は滅多に発生しないらしい。
それでもドラム缶に長いこと顔を突っ込んだり、煙の中に身を置いたりは極力しない方がよい。一酸化炭素中毒は後遺症も恐ろしいのである。