日経新聞に、「国産ワイン生産量山梨県全国一位」という記事があった。
どれどれ、とさっそく元ネタの国税庁課税部酒税課「国内製造ワインの概況(平成28年度版」に目を
通した。
現在我が国には283のワイナリーがあり、山梨県にはそのうちのおおよそ1/3、81のワイナリーがあるそうだ。北杜市にもミサワワイナリー他3軒ほどのワイナリーがある。
わが大泉にも家の近くにいずれワイナリーになりそうな農園がある。
(ニコロ・ヴィンヤード&ベリーガーデン 同ガーデンHPより)
その81のワイナリーが生産するワインの量は年間5,510キロリットル、国内全体(16,638キロリットル)のこれも33%を占めている。ボトル換算にすると765万本のワインが山梨産ということになる。
赤ワイン、白ワインの比率はほぼ半分ずつである。、
私が子供の頃、山梨の祖父の家にデラウエアと本州(現在は「甲州」と言われているブドウだと思う。鹿児島の方が「薩摩芋」と言わないように、甲州の人が甲州のブドウを「甲州」とは呼ばない)のブドウ棚があり、おばあちゃんが本州を足で踏みつぶして白ワインを作っていた。これは酒税法違反の密造酒であるが、どの家でもワイン作りは普通に行われていたし、警察に捕まった、という話も聞いたことがない。
それ位山梨でワインというのは日常の酒だった。
おそらく本州(甲州)はワイン用の品種だったのだろう、採りたてはまあ旨いが少し時間が経つと実がジクジクとヘタから落ちていって、子供には歓迎できないブドウであった。
祖父の家の周囲は見渡す限りブドウと桃の畑が続いていた。ブドウはデラ、本州以外にネオマスカットとベリーAである。ネオマス(と呼んでいた)はともかく、子供にはベリーAは酸味が強くて大して旨くなかった。たまに巨峰なんかを食うと、ベリーAはもう食えないようなブドウであった。
(ベリーA 巨峰をだいぶ小粒にした感じ)
長じて私もワインをガブガブ飲むようになったが、ワインに慣れ親しんでくると、どうも山梨のワインは旨くない。赤はブドウジュースのようだし、白は水っぽい感じだ。生意気な言い方をすると、風味に深みが
ないのである。
ところが10年ほど前からだろうか、山梨産白ワインは旨いと思えるようになってきた。おそらく果物として出荷できないブドウをワインにしていた時代が終わり、ワイン専用ブドウを丁寧に発酵、熟成させる時代になったのだ。
(本坊酒造「シャトーマルス穂坂収穫」1700円位
北杜市ではセブンイレブンでも売っているが、旨いと思う。)
一方で赤ワインはあまり進化していないように思える。
「ワイン現況」を見ると、山梨県産赤ワインは90%がベリーAで、9%ほどメルロー、わずか1%程度がカベルネソーヴィニヨンとなっている。どうも子供の頃から好きでなかったベリーAが山梨赤ワインがパッとしない要因のように思える。
もっとも白ワインはほぼ100%が私が嫌いだった本州(甲州)なので、子供の頃の記憶、というのでは説明がつかない。