10月8日、久しぶりの大泉は朝から晴天である。北岳が雲の合間からこれまた久しぶりに姿を見せてくれた。
北岳も八ヶ岳も雲がかかっていることが多いが、これらの山塊が自然防壁となっているおかげで北杜市は日照時間日本一なのだから、文句を言ってはいけない。
(北岳は富士山の次に高い山だが知名度はイマイチ)
そんな中、六大学野球で東大が法政大に連勝し、久しぶりの勝ち点を挙げた。2002年秋シーズン以来15年ぶりの勝ち点だという。
2002年といえば私は45歳、「違いのわかるサラリーマン」として円熟期(?)を迎えていたころだ。
東大名誉教授の小柴昌俊氏がノーベル物理学賞、島津製作所のサラリーマン田中耕一さんが同化学賞のダブル受賞を果たす一方で、「ゆとり教育」がいよいよ破綻へとまっしぐら、ついに初等中等教育に完全週休二日制を導入した年でもある。
(プロ志望届を出したエース宮台投手の力投と山田主将の打棒がチームを引っ張った)
とにかく、東大は弱い。群を抜く弱さだ。
1925年リーグ加盟以来、この試合を含めて253勝1616敗、通算勝率はわずか1割3分5厘である。サイコロを振って6が出る確率(・167)より低いのだから恐れ入る。
2010年秋「ハンカチ王子」斎藤佑樹を打ち込んで早大に勝利したのを最後に、東大は人跡未踏の94連敗を記録した(2015年5月にやはり法政大に勝って連敗が終わった)。
この時のドキュメンタリーで他大学野球部の選手が言っていたが、「勉学では勝てないのだから、野球で東大に負けるのは、やばい」という意識が強く作用するそうだ。つまりフィジカルでもメンタルでも東大は二重に不利なのである。
その中で2連勝したのだから大したものだ。サイコロを2度振って6が続けて出る確率(・028)よりも
低いのだから滅多にあることではない。
宮台投手、山田主将が卒業して、来シーズンから東大野球部はまた暗黒時代を迎えるかもしれない。関係者の皆さんにはぞんぶんに喜び、大酒を召し上がっていただきたいものだ。
夜、NHKサンデースポーツにテニスの伊達公子さんが出演した。
(昔から変わらない素敵な笑顔)
1996年に最初の引退をした彼女の絶頂期は、全仏ベスト4の1995年であろう。華奢な体でグラフや
ダペンポート(ペダンポートだっけ?)に食い下がっている姿に私はうっとりと見ほれたものだ。
ああ、マイアイドル、彼女が引退してから福原愛ちゃん、はるな愛ちゃんが登場するまでの10年は私のアイドル暗黒時代であった。
この年私は38歳、私もまた「歌って踊れるサラリーマン」の絶頂期を迎えていた(はあ?)。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、テレサテンの客死など暗いニュースが多かった1年であるが、
野茂英雄がMLBで鮮烈なデビューを遂げたことが唯一記憶に残るうれしい出来事であった。
また大宅壮一氏の嘆きもどこへやら、国民の白痴化はさらに進展、東京都知事に青島幸雄、大阪府知事には横山ノックが選出されたのもこの年である。
長いこと霧のむこうに隠れていたものが、ふっと姿を見せてくれる瞬間はうれしいものだ。
こういう時、私は長生きしたくなってしまう。
次に伊達公子さんを見るのはいつだろう。東大が再び勝ち点をとる日よりも早いのだろうか。