「マー君はじめてのⅮIY」
ふとテレビをつけたら、もうそこからチャンネルをかえることができなかった。
DIYの教室もウィルス対策で中止となり、
私は今まで習得した技術の全てを忘れ去りそうな危機的状態。
DIYの文字には超敏感になっていたのだ。
TV:愛する息子のために、DIY初挑戦。マー君が机と椅子をつくります!
~ええっ。ふたつも?いっぺんに?初めてなのに?
激しく驚く私のもとへ、愛猫がやって来た。
~なんだ、またテレビ見てんか。
ってなふてぶてしい表情の愛猫に、私は上記の疑問を投げかける。
~世界の投手やで。にゃんちゃんとは違いまんがな。
あっ、そうか。妙に納得していると、テレビでは、
電動ドライバーを手にマー君がビビッている。慌てている。
「えー、でも、りんちゃん、見てごらん。マー君も、にゃんと同じだよ。怖がってるぅ。
DIYをする動機も、マー君は愛する息子のため、にゃんは愛するりんちゃんのため、と同じ。な~んか親近感わくなぁ。世界の投手、ったって、にゃんと似たり寄ったりじゃん」
と言っていると、テレビのなかのDIYの先生がマー君をほめている。
いやあ、あっという間にコツをつかみましたね、みたいに。
え?と思って画面を見ると、ほんとだ、さっきまでと顔つきが違う。なんで?
急に置いてきぼりをくらった私は、急におとなしくなり、机と椅子は完成し、番組は終わった。
なんでも最初はみんな素人。
最初は出来なくて当たり前。
でも一流になる人は、そのビギナーの期間がおそろしく短いのだ。
そして私は、よく言えばずっと初々しい、正確に言うと生涯ビギナー。
あああああ。どうしたらいいの。
見ると、愛猫は隣で爆睡していた。