りんです
。
にゃんちゃんがテレビのリモコンを握ったままテレビに見入っています。
よくあることです。
画面を見ると、着物を着た女の人が歌って
ました。演歌、ってやつですか?
歌が終わると、にゃんちゃんは、りんのことをちらっ、と見ましたが、無表情。
リモコンを置いて拍手し出しました。
パチパチパチパチ。
「いやー、すごいわ、しみてきた。歌詞が、心にしみてきた。
もう、顔が美人とかどうとかを、歌が完全に凌駕してたよ」
そして、改めてりんを見て「ね、りんちゃん」と言いました。
パチパチパチパチ
。りんは瞬きをするのがやっとです。
「いやー、藤あや子さん、すごいわ。美空ひばりさんの、この歌、みだれ髪?
これをさー、ここまでに仕上げるなんて、やったね、もう超一流歌手だね
」
~絶賛はわかったけど、なんか、偉そうじゃない?
情報に疎いにゃんちゃんが知ってるんだから、とっくに超一流歌手さんじゃん~
りんは欠伸
をして、毛づくろいを開始しました。
テレビでは、大物男性演歌歌手の方が、「よかったよ。自分の歌にしてたね~」と、
あや子さんをほめていました。すると。
「そーそーそー。ほんとだよねー。私もそう思ったんだー」と得意満面
のにゃんちゃん。
続いて新人女性演歌歌手の歌が始まりました。
「う~ん
。あや子さんから学んで!学ぶのよっ!
」
テレビに向かって虚しくとどろくにゃんちゃんの叫び。
呆れて見ていると、また目が合いました。
「なーんてね。りんちゃんしか聞いてないのに、熱くなってもしょーないねっ
」
と、私の飼い主はチャンネルを変えるのでありました。
