私はいつものスーパーのお魚
コーナーにいた。
なんか、こう、平成の終わりに、これ!ってお魚はないかなぁ、と
行ったり来たりしていたのである。
そうしたら、“鯛の開き(干し魚)”が目に入った。
たまに買う“ほっけの開き(干し魚)”よりも高価。
そりゃそうだよね、鯛だもんね。とひとり納得して、初購入した。
グリルに入れようとしたら、思ったよりも身が厚いので、これまた使ったことのない機能、
火力:強、を使用することにした。
あとは、ピピピーというまで、ほっておけばいいのである。
鯛の干したのなんて、どんな味なのかなー、やっぱ、ほっけとは格が違うのかなー
。
いろいろ期待に胸をふくらませていると、待望のピピピーが!
急いでグリルに近づくと、ん?
私の動物的勘が激しく働く。
お魚グリルの窓から、炎
が見えるではないか。
ええーっ
。
まずは、ガスのスイッチを切った。
壁側のグリルの穴から、もくもくと黒い煙が。
窓を開けた。
でも開けながら少し不安になった。
この煙たい匂いに過剰反応した近所の方が119とかしたら、やだな。
「にゃんさん、ボヤ騒ぎ」とか町内回覧に載ったりしてさ。
炎は弱まることを忘れたのか、メラメラし続けている。すると、
「う~う~、火事です、火事です」と火災報知器が作動した。
ああ、もう、うるさいな
、っと、棚の上から火災報知器をとり、OFFにした。
かなりの時間を要し、火はおさまった。ふう。
私にこんな大惨事が起きている時に、りんちゃん
は何をしてるんだろう。
見ると、隣の部屋で、後ろ肢を上へ伸ばして毛づくろいをしていた。
ああ、9年もいっしょに暮してきたけど、所詮は赤の他人なのね
。
え?鯛ですか?もう、全身まる焦げ。
でも、さすが肉厚。真ん中の白いところを根性で食べました。味は覚えていません。
そうですね、私は令和も “ほっけ”にします。
