職場の飲み会
があった。
居酒屋の薄い座布団に落ち着いた私は、
まだ空いている隣の席に誰が来るのか気が気でなかった。
飲み会で隣に誰が座るかは、その後の2時間を左右する重要な問題である。
あっ。
Hさんだ!
Hさんはどんな話でもニコニコ
聞いてくれる、やさしい女性
。
私は必死に叫んだ。
「Hさん、ここ、ここ!」と、隣のお座布を指し示す。
別に約束していたわけでもないのに、強引と言えば強引だが、でも、そこはさすがのHさん。
やはりニコニコ
して「お邪魔します」と言って隣に座ってくれた。
そんなこんなで、いい調子にほろ酔い加減になってきた私は、
いい具合に楽しくなってきていた。すると
「にゃんさん、猫ちゃんは元気ですか?」![]()
そう聞いてくれるではないか。
Hさん、なんという気配り。できる女の子!
「うん。元気、元気!」
そこで気配りタイムは終わったHさんだったのだろう。
しかし、私は自分のことしか考えていなかった。
「あ!Hさんに、りんちゃんの画像見せる!」
とか叫んでスマホ
を取り出した。
「これさー、ゴミ袋に入っちゃった時に撮ったんだぁ」
画面を覗き込んでくれるHさん。そして。
「んー。もっと可愛いいのはないんですか?」![]()
え?一瞬で酔いがさめた私
。
真剣にマホのなかのりんちゃん可愛い画像を捜す。
Hさんは、別の人と別の話題で盛り上がっている。
「あ、これ、奇跡の2ショット撮れたやつ」
「え?」![]()
今思うとHさんは、またかい、と思っていたのだろう。でも画像は見てくれた。
「あ~
」![]()
よかった!さっきより反応がいい。
「にゃんさん、超うれしそう!うふふ」![]()
……。りんちゃん、ごめん。私は、りんちゃんを可愛く撮れる才能がなかった
。
