しゅっ、ぴょん![]()
備え付けクローゼットを開いて洋服をしまっていると、
え?あ、はいはい、備え付けクローゼット、またの名を押入れ、
そのなかへ、愛猫が跳び入った。
つかもうと手をのばしたが、時すでに遅し。
ってか、私の反射神経で、猫に勝てるわけはない。
「ちょっと、りんちゃん、だめ、っていっつも言ってんでしょーが
」
その夜は、ご飯を食べた後、動画サイトでローラ特集を見たりして時が過ぎ、
すべてが押し押し状態。
早く寝ないとと思うのに、まだお風呂もはいれていず、猫トイレは荒れ放題。
ふがいない自分へのイライラがマックス頂点到達。
弱い立場の愛猫へ向かう。
「なんで、いっつもそうなの?そんなとこ入って、楽しいわけ?
買ったばっかのブラウスとか、爪で穴あけられたら、
もう着れないんだよ。あのバックの持つとこも、
りんちゃんかじって歯の跡ついてるんだよ。ありえないから!
」
洋服の陰から半顔をのぞかせる愛猫。
「にぇーっ」
反抗的一鳴き。私は、我に返る![]()
入浴後、丁重に詫びを入れた。
猫のできた愛猫は、気前よく許してくれた![]()
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後日、また押入れという備え付けクローゼットの前で
着ていく服を逡巡していると、はっ。
そこには、音もなく忍び寄ってきた愛猫が。
開け放たれた場所を見つめ、身をのばしている。
床から離れた右前肢が小刻みに動いて、
もう、跳び入りたい感いっぱいなのである。
と、私を目があった。すると。
すとん。
「りんちゃん、やめたの?がまんしたの?」
振り向く愛猫、仏の顔![]()
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この日、りんちゃんは煩悩を超えた。
