お宝冷蔵庫


前々から、もう少しでなくなるなー、と思っていた化粧品が、ついになくなる時。

私はふっ、と気が抜ける。

え?いつも抜けてるじゃないか、って?

ま、言えてますねかお

そんなこころの隙間を見透かしたように、りんちゃんの前肢パンチドンッ

さ、っとキャップをさらっていく。

狂喜してキャップをころがすりんちゃん。

彼女の至福は、私の至福ラブラブ

床でころがしてる音も、まるで二人の幸せを祝福する鐘の音のよう。。。ベル

あ、れ?

祝福する鐘の音が、ぴた、っとやんだ。

どうしたのかと思って行ってみると、冷蔵庫の前で、


りんちゃんが私を見上げている。
洗濯機の下にもよくいれていたけど、今度は冷蔵庫かい。

冷蔵庫の下に、キャップがはいってしまったんだね。

はいはい。

りんちゃんの僕(しもべ)である私は、じゃれっこ棒をさがし、

キャップを出そうと試みる。

カチャ、カチャ、カチャ。

えー。

まるで定置網漁法のように、かかってるわ、かかってるわ。

今はいったと思われるキャップの他に、アイブロウ・ペンシルのキャップ、

鉛筆、なんのだかわかんないキャップ、冷蔵庫の扉につけてたマグネット2個。

りんちゃんと私は、目を見合わせた。

猫と人間、立場は違えど、思いはいっしょ。

この、こまごまとした物達は、まぎれもなく、私たち二人の歴史である。

りんちゃんがかすめとり、私がきゃーきゃー言って探し、

みつからなくてブーブー文句言ってた、いくつもの日々。

忘れた頃に、急にこう見せられると、感慨深いものがあるね。

幸せ、って過ぎ去ったことを知る時、その重みが増すものなんだね。

なんちゃって、なんちゃって、なんちゃってーべーっだ!

我に帰ったりんちゃんは、おニューのキャップ遊びに没頭しだし、

私はマグネットをまた扉につけた。

お宝冷蔵庫の巻である。