ネタバレ あなたの名前を呼べたなら | 玉と蝋石の雑種

玉と蝋石の雑種

映画ゲーム海外ドラマ周りの話を備忘録的に書いています。




あなたの名前を呼べたなら


原題:SIR 上映時間99分
2018年/インド・フランス合作

監督・脚本:ロヘナ・ゲラ
制作:ブリース・ポワッソン、ロハナ・ゲラ
制作総指揮:ラーケーシュ・メーヘラー
美術:パールル・ソーンド
衣装:キムネイニン・キッゲン
編集:ジャック・コメッツ
音響:ダニエル・グリス
音楽:ピエール・アヴィア

出演:ティロタマ・ショーム(ラトナ)、ヴィヴェーク・ゴーンバル(アシュヴィン)、ギータンジャリ・クルカルニー(ラクシュミ)他   

配給:アルバトロス・フィルム


あらすじ
経済の発展が著しいインドのムンバイで農村出身のラトナはファッションデザイナーを夢見ながら、メイドとして働いていた。夫を亡くしたラトナは建設会社の御曹司アシュヴィンの新婚家庭で住み込みで働く予定だった。しかし、婚約者の浮気が発覚して直前で破談となってしまい、広すぎる高級マンションに1人で暮らすことになった傷心のアシュヴィンを気遣いながら、ラトナは彼の身の回りの世話をしていた。ある日、ラトナはアシュヴィンにあるお願いごとをする。そのことから2人の距離が徐々に近くなっていくが……(映画.comより)







お盆休みの間は神奈川の実家でひたすらにゲームオブスローンズと読書に費やしておりまして、昨日そろそろ外出しないと社会復帰ができない!と思い立ち良さげな映画を探していたところ、俺たちのアルバトロス配給映画があるじゃないかい!ということで早速、初めての横浜シネマジャック&ベティへ。

写真撮りたかったけど水曜日はレディースデー。めっちゃくちゃ混んでてとても写真どころじゃなかった。あと横浜の駅から離れたところ行ったことなかったんですけど、結構ピンクなお店がたくさんあるところにあったのでびっくり。



雑にざっくりとあらすじを書くと
ムンバイでアメリカ帰りで建設会社の御曹司のアシュヴィンのマンションで召使いとして働いている未亡人のラトナは里帰りから呼び出されてなんなのさ!ってなってたらなんとアシュヴィンは婚約者に浮気されて結婚式が破談になってしまったそうで。微妙に気まずい中働くラトナはアシュヴィンから許可をもらい暇な時間に、彼女には正直厳しいんじゃないかと思えるファッションデザイナーを最終目標に市場の仕立て屋さんにタダ働きさせられたり、裁縫教室に通ったり。そんなこんなしてるうちにアシュヴィンはだんだんラトナに惹かれていき、ファッション雑誌を買ってあげたりミシンを買ってあげたりしてしまい、ついにキスしてしまう。ラトナも一瞬応えるが身分違いの恋に戸惑いほどなく召使いを辞めてしまう。アシュヴィンはラトナのためにファッションデザイナーの仕事を探してやり、アメリカに戻ろうとするがラトナから電話が。今までアシュヴィンのことは旦那様としか呼んでいなかったラトナの第一声は彼の名前だった...でおしまいだったと思いますたぶん。



観た人はみんな感じると思うところだとやっぱインドの身分格差(パンフレットによるとカースト制というよりかは学力、経済力、育ちの良さを総合したマウンティングによるものらしい)はまだまだえげつないな...というところで、家の中でラトナは素足でアシュヴィンは靴、飯食うときもラトナは床にベタ座りで手で、アシュヴィンはテーブルでフォークとナイフでみたいな生活様式から何もかも違うんだっていうのを画でバッチリ見せつけられたのがキツかったですね。身分というよりも階級(クラス)違いの恋をする2人実際の間取りの壁で隔てて写すというのもよかった。


でも悲しいだけの話ではなくて結構ベタなラブコメ展開みたいな笑えるところとか楽しげなところもあったのもいい感じでアクセント効いてました。泣いてるラトナにアシュヴィンが何があったのか聞いてからの突然の都会男ディスのくだりとか劇場内でかなり笑いが起こってました笑。

あとインドの象神祭?で町中踊りまくってるところはラクシュミと彼女の雇い主の息子らしき子が一緒に踊ってて身分差感が薄まってる分、海外製作の映画を観るときのインド良いとこ一度はおいでと言われてるような気持ちになって普通にほっこりした。


終わり方もアシュヴィンとラトナの関係の溝は埋め切らず、もしかしたら埋められるかもしれないという希望だけ見せて終わってくれるあたりとっても上品!って思いました。


これはパンフレットのアジア映画研究者の松岡環さんのコメントにもあった話ですが、インドの話とあなどるなかれ、日本人だってバカにできない話が「未亡人」って冷静に意味を考えると今の価値観とはかなり合わない言葉なのでは...なんて映画を観ながら思ったりしました。

パンフレットにマバニ マサコさんによる劇中に登場する料理のレシピが載ってるのが作りはしないけどちょっと嬉しくなりますね。よいです。



そして案の定カレーが食べたくなった僕は近くのカレー屋さんに行くも、米とルーが別で出てきてそれをでっかい皿に盛って合流させるという珍しいタイプだったため、普段の米ルー配分メソッドが崩壊して後半ひたすらルーを飲むしかなくなったのでした。おいしかったです。