戸神さんは久井


「私が言う質問に、嘘偽りなく答えること。」


「はい。」


「貴方の能力を詳しく教えなさい。」


「オレの能力は、手で触れたモノにロック〔鍵〕を掛ける事が出来る。扉や箱など物には勿論、人の両手・両足・心にまでロックする事が出来る。見た目からは、ロックされているかどうかは判断できない。だから、普通の人には何が起こっているのか分からない。」


吉見戸神さんに


「戸神さん…久井が手で触れずに能力を発動出来たら、今頃体の一部をロックされてたんですよ。…今度はもっと冷静に行動して下さい。」


「問題ないですよ、分かってましたから。」


「!?……どうして分かったんですか?」


「私が彼に、質問をしたのを覚えてますか?」


君は


「確か…1人でここへきたんですか?』って聞いてたよね。」


「はい、その質問で相手は単独行動だと分かりました。もう一つ、質問したのを覚えてますか?」


『私達三人も能力者です。1人でどうにかなると思ってるんですか?』


「その通りです。その質問で強力な能力の持ち主だと分かりました。」


「そこまでなら、ボクも分かってましたよ。」


「では最後に、私が挑発する様な発言をしたのを覚えてますか?」


『私も勝つ自信があります。それも……貴方に触れることなく。貴方も相当な自信があるようなので、当然私に指一本触れることなく勝てますよね?』みたいな……」


「よく覚えてましたね。それで必ず彼は、はいやああと、強気に答えてくると予測していました。予測が当たり、私の能力は発動され彼は私に指一本触れることは出来なくなった。でもまだ分かりませんでした………陣さんの『神友ちゃん、今のは大嘘だよ。早く逃げて!!を聞くまでは。」


「えっ…アレで分かったの?」


『陣さん…ありがとうございます』と、言ったでしょう。あの言葉で、彼は嘘を吐いている……三人の能力者相手に怯まない人が、嘘など吐く必要はないのに……それはつまり、三人に勝つ事が出来る能力を身につけているが、その能力を発動するには直接触れたりする必要があるのではないか?と、予測する事が出来ました。」


「ごめん…………そんな事まで考えてたなんて…………」


「いえいえ、陣さんの能力で予測する事が出来ましたし、吉見さんの能力で私の能力はさらに強力になりました。」


「……オレに勝ったからってよ、仲間が異変に気づけば……7人の能力者が動き出すぞ。はっはっはっはっはっはっ」


「トゥルーエンジェルの目的は何ですか?」


「さぁな…言えるのは、教祖の意思に従うだけだ。本当の天使に生まれ変わるために死のうと、言われたオレ達は躊躇う事なく死んだ…まぁ、お前達と同じで10人助かって死ななかったけどな…」

「(………確かにまずいな………能力戦は情報戦でもある。今回の戦いでも、ボクの能力を久井に知られていた事で戦いが不利になった。)戸神さん…ロックの解除方法を聞いたら、久井自身にロックを掛けさせよう。命に関わる心配はないから大丈夫。」


「……それは良いですね。ロックの解除方法を教えなさい。」

「ロックを解除させたい人に触れ、ビンゴと言えば解除出来る。」


「この解除方法を知ってる人は他にいますか?」


「いない。」


「自分自身にロックを掛ける事は出来ますか?」

「バ~~~カ、やったことねえよ。」

「…なら、今自分にロックを掛けなさい。」


すると

久井は右手を胸に当て


「ロック。」


と、言った瞬間

表情が明らかに変わった。


「クラスメイトの表情と一緒だ。自分自身にも能力は発動出来たみたいだ。」


戸神さんは

自分の腕時計に目をやり


「もう日付が変わってしまいました。私の車でみなさんをお送りしましょう。」


結局

さんは来ることはなかった。




12月11日


学校の昼休み

クラスでボクは

「(一週間かけて、クラス全員のロックの解除が出来た。賑やかなクラスがやっと蘇った。)」


「湧君…コロッケパン売り切れてたから、焼きそばパン買ってきた。」


と、彼女

購買でパンを買ってきてくれた。


「ありがとう。」


今日の朝一

担任に呼ばれ

開口一番


「クラスメイトに何をした!!!!」


「(えぇええーーーっっっ、何急に)………どういう事ですか?」


「クラスみんなの家に電話して、また学校に登校する様になったのはなぜですか?と尋ねたら、吉見君が家に来て帰った後に不思議と元気に話しかけてきたと言う…正直に言えば叱らないから、本当の事を先生に話してみろ。」


「(……そっか……確かに不自然だよな。)…………ボクは何もしてません…………」


「お前だけ休むことなく学校に来て、お前が家に来て帰った後にみんなは学校に登校する様になった…何かあるに決まってるだろうが!!」


「(………正論だ………)……ボクはただ……ただクラスメイトを助けたかった………元気付けたかった………それだけなのに…………先生は何をしてたんですか?」

「せ、先生は………先生はな…………いろいろだな……電話したりだな………ホントにいろいろ…………」

ボクは

責任転換してその場を切り抜けた。




「何も覚えてないんだ……」


彼女達は

ロックを掛けられている間の事を

何も覚えていない。


「携帯の着歴見たの………湧君毎日いっぱい電話掛けてくれたんだね…………心配した…………」


「少しだけね。」


「ホントはすっごく心配したでしょ?」


「…………………」


「もしかして嫌われちゃったと思っ」


その時
ボクは人目を気にせず

彼女を強く抱きしめた。


「………湧君………ごめんね…………心配かけてごめんね……………」




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