第20話 バスバス走る
バス前方のシャッターが降りバスは出発した。
このバスの中で何を見ようというのか。
絵名さんが到着は何時ごろか質問するが、
「それは答えられません。これから向かう極秘施設までの時間、方角など場所を特定できる情報は一切教えられません。出発前にみなさんから携帯や時計を回収したのはそのためです。」
溝口は「場所なんて別にどこだっていいだろ」
新田は「そこまでする必要のあるのはとんでもない施設だろう」
は、ルービックキューブをひたすら完成させていた。
手嶋は貧乏ゆすりが止まらない。
やっさんは、いらだち隣の人にからんでいる。
ケンジはそのいらだちは見られているぞ、試験はもう始まっているんだ!と思っている。
ほどなく隣の人と10分間きっちり話をする交流会なるものが始まる。
はじまるにあたりくじ引きをし、番号の席に並びなおす。
せりかさんの隣になるように祈っていたムッタだが、森嶋茂雄さんだった。
やっさんはまた手嶋と隣になったことが不服で手嶋に絡んでいる。
手嶋がひとりになったほうがついてないよと言うと、やっさんはほんまにそう思うてんのかと手嶋に言う。
福田、ケンジペアは娘の話で盛り上がる。娘の髪の毛をといたことはあるかい? たまにならと答えたケンジに、たまにはといてあげたほうがいいとアドバイスをする福田。 またやっさんと手嶋ペア。10分きっちりやぞ?きっちり10分ちゃうぞ?よーするにお前と10分間きっちりしゃべりつづけなあかんねん。話題もないのに。深読み過ぎじゃない?という手嶋。浅読みしてドツボにはまるより「注意深く用心深く念には念を」や。それが宇宙飛行士として必要な素質や。後ろの二人みてみ。会話が止まっとるやろ?減点の対象や。減点とかないでしょという手嶋にただの交流会に監視カメラが必要か?というやっさん。とりあえず10分しゃべっとけばいいんだからしりとりでもしよか? 10分が立ち、「通路側の人は時計回りにづれてください。一周したらこちらが席を指示します。自分以外の14名と話してもらいます。」という説明に森嶋さんは「最初のくじはなんだったんだい」と思うのだった。 ムッタはいつかはセリカさんと話せるとワクワクしている。 ムッタとやっさんペア。 やっさんはやたらムッタの心の声を当ててくる。目ちっちゃって思ったやろ?なんでこんなやつが3次試験まで残っとんのやろ?って思ったやろとズバズバと。図星のムッタ。 二時間半後、交流会は終わり、アンケート用紙が配られる。 自分を含め宇宙飛行士に向いていると感じた人の優先順位を書いてください。 食事を摂った後、消灯され、みな何時間か眠りについた。 いったい何時間走っただろうか? 目が覚めた時、バスは止まっていた。あーなんか窓の外が見れないと酔いそうだよね?
交流会と称して全員とおしゃべりする。
やっさんはするどくて、たぶんこの10分間で相手の色々を観察しているだろうな。やはり周りに気を配る(チェックする)ことのできる人は能力が高いということかな?好奇心旺盛な人ってことなのかな?まぁそこ止まりの人じゃダメなんだろうけど。
森嶋茂雄さんも言っていたけど、くじの意味はなんだったんだ?
自分を含め、宇宙飛行士としてふさわしい人の順位をつける意図はなんだろうか?
競争なんですよ?ってことなのかな?自分以外はみんな敵ってことなのかな?
それにしてもお弁当が出たのかな?バスの中で食べたんだろうから、やっさんが文句言いそう。
でも、なんでこんな人が3次試験まで残っていたんだろうか?
なんかすごい優秀なひとなんだろうか?