『海賊モア船長の遍歴』読んだ | 想像妄想空疎空想うそ日記

『海賊モア船長の遍歴』読んだ



多島 斗志之
海賊モア船長の遍歴


海賊討伐のための武装船『アドヴェンチャー・ギャレー』は、いつしか自らも海賊船へと姿を変えたのであった。船長ジェームス・モアは、ユニークで心強い仲間たちと共に大海原をゆく。輝やかしい成果と数々の危機―。そして、『タイタン』を駆るブラッドレー船長との因縁の対決が迫る!胸ときめく本格冒険ロマン。
(Amazon文庫版説明より引用)

 すっっっごく面白かった! 

 keita2さんのブログ で紹介されていて気になったが知らない作家だったので、図書館で検索したらこの人の著作自体が一冊もない…。よく行く古本屋で見ても一冊もなくて読む機会ないかもなーと思っていたが、その直後別の古本屋で文庫版発見。らっきー。

 本を開くと、文庫本のくせに掟破りの本文2段組。ちょっと引いたが、改行が独特で多いためにこういう段組になったらしい。

 海賊ではあるが、この男や乗組員たち、
 生粋の悪人ではない。むしろやむにやまれぬ事情で、
 海賊、
 という稼業を選ばざるを得なかったのである。

 というような文章。一段だと、分厚いくせにティーンズ小説みたいに下半分すかすかの本になりそう。これが独特のリズムで、さくさく読めた。

 あまり海賊船の船長らしくなく色々な鬱屈を溜め込んだモア船長。世界を変革するという薔薇十字団の理想に共鳴して団員になることを夢みる「男爵」。日本刀の美しさに心奪われて東洋行きを望む鍛冶師「プラトン」。
 魅力的な登場人物が乗り組む海賊船が、商船を襲ったり東インド会社の討伐艦隊に追われたり、海賊同士で協力したり裏切られたり。
 波乱万丈な展開が続いて、なかなか読むのを中断できない。

 モア船長は優秀な船乗りだが天才ではなくて、勝っても無傷ということはまずない。ぼろぼろのアドヴェンチャー・ギャレー号の修理に何ヶ月もかかることもざら。自分の過去にこだわって金にもならない危険な航海をして、船長位を剥奪されそうになることもある。海賊のことや帆船同士の戦いがリアルに書き込まれているのも面白い。

 記事を書くのに検索して知ったが、ウィリアム・キッド(キャプテンキッド) (Wikipediaへリンク)の歴史から話を膨らませた物語だったのだね。アドベンチャー・ギャリー号(The Adventure Galley)が実は燃やされておらず、モア船長が引き継いで海賊団を結成した。なるほど。

 『ONE PIECE』とかが好きな人なら、読んで損はないと思う(ちなみに私は大好きだ!)。先日読んだ『流血女神伝』にも海賊は選挙で船長を決めるという話があったが、そのあたりもより細かく描写されていた。
 巻末にある参考文献も気になった。こういう小説って、歴史だけじゃなくいろんな調べ物しなきゃ書けないのだろうなあ。

 海洋小説ってほぼ読んだことがなかったが、これは良かった~。
 ブログやってなければ出会わない物語だったなあ。keita2さんに感謝。


海賊モア船長の遍歴
多島 斗志之
中央公論社 (1998/07)


↓文庫版。自分が読んだのはこちら。

海賊モア船長の遍歴



海賊モア船長の憂鬱

 続編あるのか…。うわー読みてえ…。