都市計画道路とまちづくり(中編) | 府中市議会議員 西村りくの仕事場

都市計画道路とまちづくり(中編)

太陽の森構想。

※『基地跡地利用 ーその経緯と現状ー』(平成10年3月/府中市)より

 

私たちが調布基地跡地とか関東村と呼んでいる場所で、現在、北は東京外国語大学、南は榊原記念病院や味の素スタジアムがある一帯です。

私が岐阜県土岐市の小学校に入学した年(40年ちょい前)、この土地はこのような構想図で示されていました。
この図では、今の東京外語大のあるところに総合病院が。警察学校があるところに小中高等学校が。榊原記念病院のあるところにサッカー場やテニスコートが。それ以外は広大な公園となっています。

実際は随分変わってしまいましたが、いずれにしても「基地」という存在が、今ではスポーツ・福祉・教育・医療・防災など、人の命を守り育てる専門また最先端の施設が集結したエリアへと大きく姿を変えたというのは非常に意義深く、当時の「太陽の森」という名前が現在の姿にも反映されていると言っても過言ではありません。

 

☆ ☆ ☆

 

さて、前置きはここまでにして、

前回の「都市計画道路とまちづくり(前編)」(9/10配信)では、府中市都市計画道路3・4・16号(下図の赤の部分)の住民説明会から始まりました。

引き続き、前回少し触れた関連の道路や課題についてもう少し書きます。

 

紅葉丘のセブンイレブン前交差から多磨駅までを直線で繋ぐ約140mの3・4・11号線(H35年完成目標・下図のオレンジの部分)もこの後ほどなくして動き始めます。

また「新・人見街道」と呼ばれる3・4・12号線(下図のの部分)も東京都の都市計画道路第四次事業化計画(H28〜37年度)の整備優先道路として指定されました。

(※下図のの部分は既存の主な道路。)

 

 

現在着工中の3・4・16号も、これから始まる3・4・11号も、今後約7年という目標が立てられた一方で、「狭い・危ない」と言われ続けている人見街道に変わる(新設される)都道3・4・12号線はまだ指定されただけで工事が決まったというわけではありません。

ここから10年の間に事業認可を受ける優先権を得たということでしょうか。認可されれば具体的に事業の計画が立てられ、住民説明や各種手続きを経て土地買収などを行い。。。

人見街道の多磨駅の東あたりから分かれて浅間山通りで美術館通りと繋がることになる長い区間(1,680m)ですので、段階的に取り組んでいくことも考えれば、工事が完了するのは四半世紀いやそれ以上かかるかもしれません。実際わかりません。

 

 

さて、こうした背景が描かれる一方で、2020年春には多磨駅東側にイトーヨーカドーのモール(Arioとは聞いていますが)の建設が予定され、同年夏には東京オリ・パラが開催されます。東京オリ・パラでは、味の素スタジアムとその横に建設中の武蔵野の森スポーツ施設(仮称)を会場に、オリンピックではサッカー、バドミントン、近代五種、7人制ラグビーが。パラリンピックではバスケットボールがそれぞれ行われます。


大型商業施設と世界的スポーツイベントの開催によって、喜びの声もたくさんあるのはもちろんですが、同時にこの多磨駅周辺の道路交通は一体どうなってしまうのか?というのが周辺住民みなさんのもう一つの関心であり、不安でもあります。
オリパラはある期間だけですが、大型商業施設は半径5kmを商圏にしていることもあり、施設北側の車の流れは非常に気になっています。

 

 

特に人見街道と西武多摩川線・多磨駅北側の踏切は明らかにボトルネックであり、隣接する幼稚園の存在や通学路にもなっており、多くの方々から「なんとかしてほしい」との声を何年も前からお聞きしていますが、街のつくりとか都道の幅とか鉄道側の事情などで、思うように進んでいない状況です。

さらに、この西武多摩川線を横切るには、この狭くて危険な人見街道の踏切のほかには、多磨駅の地下道しかありません。老朽化への対応とバリアフリー化が急務です。

これらの課題については、市議会からも多くの議員から改善を求める要望、そして市からも重要陳情としても東京都へ出されています。

 

 

私も他にできることをと考え、昨年夏に橘 正剛 都議会議員とともに都道・人見街道と多磨駅周辺を中心に視察・点検にあらためて歩き、これまでの課題認識に加えてこの地域がオリ・パラ競技会場周辺であることによるユニバーサルデザイン的な視点からの改善の必要性を、昨年8月28日の都議会 当該委員会の場で橘都議に取り上げていただきました。

 

議事録↓

東京都議会 オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会

第19期・第21号(平成27年8月28日)

(全体は長いですが全体の上から1/3くらいのところにあります。)

 

※写真は多磨駅周辺視察後に移動し、東府中駅近く旧甲州街道の狭い歩道を視察中の橘都議と福田市議。
 

質疑自体は短くシンプルなものですが、このオリ・パラに掛けた流れから動きもついてきており、府中選出の両都議会議員も声をあげ、さらに都から府中市へ関係職員も派遣されてきました。雰囲気はできてきていると思います。

 

オリンピック・パラリンピックはあくまできっかけですが、どこまでも障がい者・高齢者をはじめとするすべての人にとって移動しやすく安心安全の確保のために、そしてこれからの東部地域のまちづくりにおける基幹的な役割を果たす交通網の整備を、ぜひ実現させたいものです。

 

9月20日