「何、ただの昔噺さ」
幕開け際にて、冒険者は騙る。
「そう、ただのくだらない戯言さ」
こうして、世界は周り出す。
*偽勇の剣
シグナス騎士団。
唯一の女王、シグナスが率いる冒険者とは別の武装勢力だ。
清く正しく、そういったイメージが強いだろう。まぁ、実際には普通の冒険者と何ら代わりはない。
「……退屈だ」
ほんの一ヶ月ほど前、色々あって僕はこの騎士団に「敢えて」所属することになった。どうせやることもなかったので、心情的には何と無く。だったのだけど。
「なんだかなぁ」
浮遊島エレヴからよく見える青い空を、忌々しげに見ながら思う。
なんて平和なのだろう、暗黒の魔法使い再来の日が近いというのに、なんて何もないのだろう。
たった一つ、僕の身元を証明する剣も、活躍の場がないのではただの飾りじゃあないか。
「シエル様、ここにいたのですね」
あぁ、またか。
「……シグナス様」
「身体ならもう大丈夫ですよ」
「いえ、そういう問題ではなく」
エレヴとはいえ、せめて護衛をつけて行動して欲しいのですが。
島にいると、何故かシグナス様が話しかけてくる。困ったものだ。
「今日はお願いがあるのです」
「お願い、ですか?」
「はい……」
あぁいやな予感がするな。
一通の手紙が、引き金を弾く
(なんてことだ)
(物語が始まってしまった)
