異次元の壁の隙間部屋 -4ページ目

異次元の壁の隙間部屋

小説やら創作やらを投下するブログです、
オリジナル設定多し、苦手な方はすぐ逃げましょう。
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$異次元の壁の隙間部屋


ゴッドイーターより
確実に逃げ道がなくなってく主人公の未来が不穏で不安、
いやホント、あんな情報をくださんなって支部長様よ。
とりあえず


_人人 人人_
>信頼が重い<
 ̄Y^Y^Y^Y ̄



不憫な元無職新型ゴッドイーターに幸あれ

 花龍化、と呼ばれる現象がある。
 いや、寧ろ花狩隊の宿命と言ってもいい、そんな現象がある。
 詳しい事は何も知らされていない。只、手に負えないほどに力に侵食されると、
その力の源となっている花龍に、狩るべき対象へ成ってしまう。と言うものだ。
花龍化の兆しが現れたものは、そうなる前に処分される。というか直で自害しろといわれる。
 唐突ながらにこんな話をしたのは、実際に俺がそうなっているからでありまして。


*舞台裏


「──……。」
 気づいたのはつい最近の事だった。
 身体に違和感を感じて、すぐにいつもは読みすらしない身体ステータスデータを確認した。
……結果はこの通り、侵食率が限界値を超えるギリギリのラインになっていまして、
流石の俺も血の気が引いて、暫くは硬直したままだった。
 どうしようかと悩んだが、誰に相談できるはずがない。
今のところ花龍化を解除する方法は何もない。下手をしたら、全員敵だ。
自身以外は、全員敵としか見えなくなる。

 あぁ、どうするべきか。



「おいローディ、顔が真っ青通り越して白いぞ」
「別に……」

 イクスという人格は、何かと察しがいいことで恐れられている。
観察力は人並み以上にあるのだ、がしかし、それを活用する術を知らない。
 さて今日イクスは、ローディにちょっとした違和感を感じていた。
まず、目を合わせない。いつもは嫌々ながらに目線だけは合わせていたのだがなぁ。
次、さっきも本人に言ったように顔色が悪い。体調不良にしては足元はふらついてないんだが。
そして、コネクターの火傷。これは決定的だ。
 コネクターの火傷が、以前より少し広がっているのだ。
これはかなり不味い事態である、早急にコネクターの修理をお勧めしたい。が。

「ローディ君ローディ君! 今日はリビングに降りる?」
「いや、いい。……暫くは、いい」

 あの受け答え。ゼッタイおかしい。
ローディは哀しい事に、最近恋人が出来てたりする。しかも寮でだ。
寮に降りねば会えない相手。フラグたったばかりなら、すすんで寮へ降りるはずだ。
……因みに体験談だ。
 さてはて、アイツ自体が問題を抱えるのはかなり珍しい。
どうしたものか。
相談して、いいものか。
 まずナマコ勢は信用ならないからアウトだ。かといって寮の連中に迷惑を掛けるのもアレだ。
ん? 寮の連中? あぁそうだ。

「寮へは俺とジンマで降りる、他自由でいいと思う」

 彼の彼女に、それとなく伝えておけばいいじゃあないか。大体それで解決するわ。



 クローディアからそれとなくローディの状態を聞いたアウアは、
正直言って焦っているとかのレベルを越えてブチ切れていた。

「なんだっていうんだ、あれほど自分を大切にしろと言ったのに!」

 ワタシのことは全力で心配するくせに。
そう小さく呟いて、アウアはローディのいるらしきナマコ部屋の前まで来ていた。
扉を叩き、人を呼ぶ。後ろでヴォロンテが叫んでいるが、アウアは一切聞いていない。
目的しか見えていないようだった。

「誰だこんな時間に……っておや」
「ローディはいるか」
「あぁローディなら今帰ってきたが、自室にいるかと……」
「会わせろ」

 ナマコ部屋の扉を開けたガイは、ただアウアのペースに飲み込まれるままに
会話を続けた。ガイは内心相当驚いていたのだ。
 この勢に、他者から心配を受ける者がいたとは。と。
基本的にナマコ勢は閉鎖的だ。大事には参戦するが、基本的必要以上の交流は取らないし
嘘だって平気で吐き、信頼もないに等しい。
元々、交流には向かない人種なのだ。
 そんな勢と知ってこそ、アウアの行動には何かを感じた。

「……呼ぶのメンドイな。自室に案内すっか」

 普段は追い返すべき相手を、彼は招きいれてしまったのだ。
大体察しはついていたから、かもしれない。



 もう意識が持たない。ローディは自室で只座り込んでいたのを、デコイは無言で見ていた。
 デコイは、主に対しての特別な感情は皆無に等しかったが、今回は別である。
放っておけば、彼は数日の間に花龍と化するだろう。そうなってしまえばまた、デコイは放棄される。
 それだけは、それだけは回避したかった。

 先程からローディは何も話さない。否、話すほどの力が残っていないのであろう。
昨日話した言葉が蘇る。

『俺が花龍化したら、お前が殺せよ』
『何故だ』
『お前にしか頼めそうにない』
『あの娘に殺される事を望んでいたようだが?』
『…………あいつは、部外者だ』
『……』

 「部外者」。
 言葉の軽さが彼自身を疵付ける。
 「お前にしか頼めそうにない」。
 信頼が私へのナイフとなる。
 「お前が殺せよ」。
 それが、最初で最後の命令だというのか。

「主よ、私は主を殺したくはないぞ」
 もう届かぬ。
「死にたいのなら、勝手に死ねばいいじゃあないか」
 もう、聞かぬ。
「今まで、ずっとそうして勝手をしてきたというのに、今回は流されるままに逝くのか」
 もう、聞いてくれぬ。

 元はといえば、主は運が壊滅的に悪かったのだ。
 状況が恵まれなかった。だから、歪んでしまった。
あぁもうダメだ。彼へ救いはなにもない。
何も報われないままに、彼は死ぬのだ。

 デコイはため息をつく。

「主の人生は、あってなかったようなもんで終わるのか」
 



 彼の自室は、必要最低限のモノしかない。必要ないものは、いらないからだ。
だから酷く殺風景であり、どこか物悲しかった。
そんな部屋は、いつのまにか壊滅していたのだけど。

「あっちゃあ」

 マキナは、胸騒ぎを感じてローディの自室に来ていた。
まずカーテンが破けてる、本棚も散乱、つか全部壊れてる。
物を壊すのが得意なルカ=クォート・ホプキンスでも、ここまでは出来ないと思うほどに
この部屋は破壊されていた。

 部屋の端には、微かに息をする生物がいた。
まだ辛うじてローディとしての姿は残っているが、中身はもうダメだろう。
耳を塞いで目蓋を閉じ、何も見ず何も聞かず、それでも翼は羽ばたくのをやめない。
痛々しい花龍がそこにいた。

「デコイ、キミはまだ生きてる?」
「あぁ」
「彼の自我、もうないかな」
「ないな」
「じゃあ、もう花龍判定貰ってるね」
「そうだな」
「残念だけど狩ろうか、彼に悪意はないから、そのうちに」
「私を使え、主はそれを望んだ」
「分かった」

 弔うのは僕の役目だ。
 剣に姿を変えたデコイを手に、僕は花龍へ歩み寄る。
理由は只一つ、狩るためだけ。
狩る為だけに、僕は彼を殺すのだ。
罪だろう。
業だろう。
されど、それこそが僕の役目なのだ。
トリックスターのホプキンス、それが背負う役目なのだから。
 
「それでも、僕はキミを哀れとは思わないよ」

 剣を振り上げる、さぁ振り下ろせ、自身の業を刻む為。
 剣を振り下ろす、さぁ首を切れ、彼の命を終わらせろ。
 首を切れ、首を切れ、命を絶て、血で汚せ。
 殺せ。花龍を。殺す。彼を。

 矛先が彼の首に到達する瞬間、この部屋の扉は唐突に開かれた。

「ローディ!」



 そこからのイザコザは、あえて明記しないことにする。
というか、書く事がないぐらいに一瞬でかたがついたのだし、
持久戦が得意なマキナでさえ、土下座して降参した始末。どこをどう書けという感じである。
 さて、ここからは後日談になる。



「ガイ、何でよりにもよってあの子を招いたのさ」

 利き腕とは逆の腕、つまりは右腕をぼっきり折られたマキナは、半強制的に医務室通いの状態となった。
アウアの攻撃に反射的に防御を取ったのが悪かった、勢いに負けて右腕はバッキリ折られてすっ飛ばされた。
それだけ、アウアはブチ切れていたんだろう。

「んー。何となくだ」
「何となくで僕こんな大怪我折ったのか……」
「あっはっは、まぁ右でよかったじゃあないか。左だったら死んでたし」
「そういうもんかなぁ」
 
 マキナはため息をつく。それを見てガイは思う。こいつは運が悪かった、と。
そもそも、マキナに罪はない。役割を果たそうとしただけだし、責任を負うつもりでいたようだった。
そこに飛び込んできたイレギュラー、まぁこれは自身が仕込んだのだが、アウアによって場が狂わされる。
一言で言うなら、リア充補正だ。
 おそらく、アウアに話を振ったのはイクスで間違いないと思われる。ていうかヤツしかいない。
騒動が終わって、ガイは真っ先にイクスに問いただしたのだ。テメーだろ噂流したのはと。
そうしたら──。

『リア充補正に任せればほっといてもどうにかなると思ったんだ』

 ……完璧に問題を抱えるのが面倒で、全てブン投げしたという真実が発覚した。
因みに、その回答をしたイクスの表情はとても爽やかで煌びやかであった。かなりうざかった。

「とりあえず、今回の事例はどうするよー。報告しなきゃ、怪しまれるよ」

 花龍化の件は、既に隊に情報がいってしまっている。討伐したか、逃したかの報告をしなければ
此方の信用問題に関わってくる。さてどうしたものか。
まさか、あんな事になってしまうとはマキナもガイも、想定外であったのだし。

「実は新型の副作用でしたーとかそういう理由でっちあげときゃいいって、どうせ、花龍ウィルスは謎が多い」
「謎に便乗して隠蔽? そのうちバレるよ」
「バレたらバレたでそんときだ」
「逃げる気満々だねガイ君……」

 マキナはまたため息をつく。
 あぁ、この寮は本当に厄介だと。



 さてはて、そろそろあの花龍がどうなったのかを話しておこうと思う。
まず結論から言うと、彼は助かった。原因はアウアのお陰、と言うことにしておこうと思う。
ある意味の【奇跡】、そういうことにしておきたい。
 何故彼が助かったのか。という質問には、残念ながら上手く答えることはできない。
いうなれば、トリックスターの本領発揮だった。としか言いようがないのだ。

「……さっぱりだ」
「なにが」
「何でアウアがあの場に出てきたのかとか、何で俺助かってるのかとか」
「助かったんだからいいだろ」
「まぁそうか。とりあえず礼は言っとく」

 ローディは今日も普通に生きている。アウアも、何の影響もなく生活している。
なにがどーなってこうなった。とデコイは無い脳ひねって考える。
だが分からない。何も分からない。
 只、不可解なのはクローディアの言葉だった。

『やれやれ、手間かけさせやがって』

 今回の騒動の解決には、クローディアと呼ばれる最悪の有人格者が関わっていることに違いはない。
結局、何をしたのかは定かではないが。意図的な何かを仕組んだ可能性はある。
アウアという不確定要素を利用したのも、何かの一部だったのかもしれない。
 まぁ、その何かは、やっぱり分からないのだけど。

 ローディとアウア、女神ですら予測していなかった関係者達。
おそらく可能性の塊。否、それ以上かもしれない。
デコイは、剣のまま主を観る。


「ありがとうな、アウア」


 この舞台裏は、何も知らぬが良いのだろうと。
そう、此処の心の奥の底、知られぬままに消えればいい。
そんな舞台裏工作が招いた必然など、舞台の上の役者たちには、知られる必要はないのだと。



 あぁどうか、【愛の奇跡】ままで。
(人工的に薫りつけた花を)
(生花と思い込んだままで進んでおくれ)


































「意外だよ、キミがあの二人を助けるなんてね」
「さて、何のことやら」
「ばっくれるつもりかい」
「フイニーグ、コレは取っておきの秘密事項。それぐらいは察してくれよ?」

 ──ね、ラグナロク?




*あとがき
 ミカヅキさんに捧ぐ
$異次元の壁の隙間部屋

可能性へ飛び込め!


*解説というか只の語り
 
 フェイト=アル・テーゼはある意味、
強制参加なオンラインゲームのような世界だったんです。
一定周期でループを続ける世界でして、
とある街一つを飲み込んだ場所でもありました。
 その中でローディとキズナだけは、世界が偽物だと気付いてました。

 で、ローディとキズナなんですが、
現実世界での二人は、部隊は違えど同じ【花狩隊】に所属しています。(互いのことは知らない
現実世界での脅威【毒蒼花】と【花龍】に対抗する組織です。
その花狩隊では、人並み外れた力を得るため【毒蒼花】のウィルスを
自我を飲み込まれない程度に取り込んでいます。所謂ドーピング。
 そのウィルスが、フェイト=アル・テーゼを支配するシステムに対抗する
唯一の切り札でもあったわけで。

 只、上の絵で哂っているローディは、本当に偶然巻き込まれただけの被害者で、
一度のみならず二度も世界を抜け出す事を諦めていたりしてました。
だから哂ってる。どうにもならないと思ってるから。

 しかしキズナは違います。キズナは意図的にフェイト=アル・テーゼに
潜り込んで、最初から世界を壊す気でいました。
けれど失敗ばかりで、ループに巻き込まれて焦っている。
だから哂えない。哂えないぐらい、追い込まれています。

 因みにシエル、エヴィン、エヌゼットは何も知りません。
元々飲み込まれた街の住人でしたし、根本から生きることすら
諦めていた人達でもあったから、偽物だろうとなんだろうと、関係なかったのかもしれません。

 そんなとあるループ軸、ローディはその軸のみで異常事態に連続で遭遇します。
外側から見守っていた花狩隊のメンバーは、とうとう痺れを切らして外部干渉してきたのが原因です。
 現実世界のことを忘れかけていたローディは、それでようやく自我を取り戻します。
それからは今まで取らなかった無謀な行動にも、ちょくちょく出るようになります。
何せ彼は、花狩隊で噂になっていた「花狩隊 大型花龍討伐班の特攻隊長」だったのですから。
 それらの行動を見て、キズナはローディが自身と同じ花狩の者だと気付き、
まさかと思いつつもローディに自分は花狩隊だと話します。
 その会話のお陰で、ローディはこの世界を脱出しようと改めて決意したのですが、
キズナは違っていました。今更仲間が見つかっても、もうだめだと。
それほどに、キズナは精神的に追い込まれていました。

 
 そのループ内で、奇跡的に外側へ脱出できるチャンスが見つかりました。
でもそのチャンスを掴めば、シエルやエヴィン、エヌゼットたちの長い旅も、半永久的に幕を閉じます。
それどころか、今までの日常もなにもかもが、消えてしまうのです。
 ……キズナは、最後の最後で諦めてしまいました。
 キズナは今の仲間が好きだったから、離れたくないという感情もあったので、
その選択も仕方がなかったのです。きっと。
 ローディだけは、全てを棄ててそのチャンスを掴み、外側の世界へ飛び出しました。
ローディだって今の仲間や日常は棄てたくなかった。
けども、そのチャンスは全てを掛ける価値がある事に気づいていたんです。
 外側の世界から、この世界を壊すことだって可能になる。そんなチャンスでもあったのです。

 
 そうして、絵の最後は赤い空を背景に、彼独りが立つ事になりました。
花狩隊に仲間はいますが、フェイト=アル・テーゼの中のことを直接知るのは、
ローディ。彼だけでした。
 彼だけが、フェイト=アル・テーゼに留まっている仲間を助けようとします。
彼自身、相当悩んではいますが、また諦めたくないと思っているようです。
物語の最後は、どうなるのやら。
 
 花狩隊の宿命に殉死するか、仲間を助けてハッピーエンドか、
それとも、目的を達成できぬままに花龍に喰われるか。
 それはまだ分かりません。