Vol.2 佐藤公彦 | Culture is undead

Culture is undead

カルチャーになぞらえた人物へのインタビューを中心にコラムを綴ります

前回のコラムページで大反響をいただきまして、おかげさまで早くも第二回を迎えることができました!
ひとえに皆様のおかげでございます、これからもよろしくお願いいたします。

第二回目のゲストはサックスプレイヤーの佐藤公彦さんです!
福山雅治、EXILE、矢沢永吉をはじめ、名だたるアーティストたちのレコーディングやバックバンドを務め、作詞作曲等も精力的に行っています。
また、MEN'S5では淡谷三治としてボーカルを、沢中健三としてムードテナー奏者を務めるなど、様々な顔を持つ彼にインタビューしてみました。

佐藤公彦1

筆者 「公彦さんご自身は何か影響を受けたカルチャーってあるんですか?」

佐藤「やっぱりヒップホップかなぁ。今の若い世代の人って産まれた時からヒップホップがあるでしょ?でも僕たちはそうじゃなくてね、ヒップホップが出てきた時は本当に衝撃的だったよ。トラックとかも自分で作れるような感じがしたし、音楽に敷居を感じなくなったっていうのかなぁ。個人的にだけど、ループを使った音楽という事ではディスコとかに近い感じがしたのかなぁ。だから全然抵抗なくヒップホップを聴けたし、グラフィックとかダンスとかは正直よくわからなかったけど、ビブラストーンっていう生ヒップホップバンドやってたからそういう人たちと一緒にやったりする機会もいっぱいあった。」

筆者「近田春夫さんのバンドですよね。生ヒップホップバンドの先駆者だって伺ってます、近田さん無しでは日本のヒップホップシーンは語れないとか…」

佐藤「近田さんが言ってたのはそれまでDJがターンテーブルでやってたことを全て生でやる、ってことなんだけど、普通バンドだったらサックスのメロがループしてたとして曲が進むにつれてメロをフェイクしたくなったりするじゃない。だけどサンプリングされたメロだったらそれがない。当時の俺はそこまで理解してなかったんだよね。生で演奏してるのに同じことをずっと吹くっていう意味が分かっていなかった(笑)」

筆者「もっとバンド的に捉えてたってことですね。じゃあビブラストーンに入ったことがきっかけでサックスだったり音楽をはじめて、今に至るんですか?」

佐藤「ううん、中学と高校でブラスバンドやってからきっかけはそこかな。高校ではインストバンドもやってて、そのバンドでYAMAHAのコンテストに出たんだよ。関東大会で優勝させてもらって、全国大会に進んだ。でもその全国大会では準優勝だったんだけど、その時に優勝したのがチェッカーズだった。で、俺たちのバンドはプロになるやつとならないやつに別れた感じかなぁ。その後、俺はサリーってバンドでデビューしたんだよね。それからビブラストーンに入った感じ。」

筆者「すごいなぁ。その頃ってまだ全然MEN'S5やってないんですもんね。結成してから25年以上経ってるのに、それよりももっと前にもそんなに濃い歴史があるなんて驚きです。でもやっぱり私個人的にはMEN'S5っていう一つのバンドを25年以上も継続してやってきているってことが一番すごいと思ってます」

佐藤「まだ六道さん産まれてないもんね(笑)なんていうんだろう、MEN'S5ってメンバー同士の距離感が絶妙だと思うんだよね。食い込みすぎないというか。そういうのもあったのかなって思う。まぁ俺は、死ぬまでというか、音楽やってる限り続けていくつもりです」

佐藤公彦3

筆者「ヒップホップカルチャーに影響されてきたという公彦さんですが、やっぱりファッションにおいてもその影響っていうのはあったんですか?」

佐藤「ありましたね。今でも家にブカブカの服とかあるけど、捨てられないよね。最近また着ようかなと思ってるぐらい。オールドスクールなジャージとかもすごく好き。今はヒップホップのファッションではないけどね。」

筆者「なるほど。じゃあ今はどうですか?」

佐藤「最近は定番のものが多いですね。例えばジーンズだったらリーバイス、スニーカーだったらコンバース、とか、だんだんベーシックなところに戻ってる気がする。」

筆者「すごくわかります!私も結局いつも帰ってくるのはリーバイスとコンバースです(笑)」

佐藤「六道さん、今日もコンバース履いてるもんね(笑)洋服は見るだけでもすごく好きです。特にレディースの洋服とか見てて楽しい。レディースの服って色も綺麗だしデザインも色々だしね。」

佐藤公彦2

音楽やファッションにもヒップホップカルチャーの影響を受けてきた佐藤公彦さん。
自身が携わる音楽という文化の中で大切に感じていることは何か聞いてみました。

佐藤「プロとしてやらせてもらってる中で感じるのは、楽しむことが大切かなって思う。仕事としてやる場合って必ずしも好きなジャンルじゃないものだってあるかもしれないけど、自分がやる上ではジャンルに関係なく全て楽しんでやってきたんだよね。てゆーか楽しくないことするの嫌だから、自分が楽しめる方法を見つけますね。当初、この歳まで音楽やって生活出来るとは思っていなかったけど、これが一番好きだし、誰だって好きな事はやめないでしょ。」

筆者「同じように音楽を仕事にしたい若者に向けて、何かアドバイスがあればお願いします!」

佐藤「やりたいんだったら是が非でもそれで食えるように頑張って欲しい。でも色んな理由つけてそれができないって言うんだったら、もうできないよ。それってもうできない自分をイメージしてるってことだから、できなくてもいいやってどっかで思ってるってこと。そしたらもうダメだと思うな」

筆者「あぁ、私も身に覚えがあるかも…。」

佐藤「これからも音楽業界はどんどん変わってゆくんでしょうね。CDだってどんどん売れなくなってますが、アナログ盤が復活してるし、SNSだったり動画サイトだったりで、よりたくさんの人に音楽を聴いてもらう機会が増えてるっていうのはすごくいいと思う。聴く側と聴かせる側のメリット、デメリットはあると思うけど、この先、どんな事があっても絶対に音楽はなくならないでしょうね。」


音楽シーンはこれからの時代変わっていく、と少し寂しそうな目で仰った佐藤公彦さん。
それでも若い人たちとの仕事は刺激的で楽しいと言い、温故知新を地で往くような人だなぁと感じました。
音楽業界の第一線で活躍し続ける佐藤公彦さんの活躍は年々その輝きを増しており、業界に入って数十年経つことでより一層磨かれたであろう感性から放たれる言葉も音も深みのあるものでした。

近々の佐藤公彦さんのライブ情報をお伝えしますので、ご興味を持たれた方は是非遊びに行ってみてください♪

9/25(金) 加藤喜一&His Band@荻窪・Ogikubo Club Doctor
10/17(土) ムード兄弟@池袋 ポルカドッツ(カフェ&バー)
11/2(月) Disco HARDAYZ Band@渋谷 JZ Brat
11/8(日) MEN’S5@HEAVEN 青山
11/15(日)ムード兄弟@HEAVEN 青山
        
その他、TBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド』に “ 沢中健三 ” 名義で「真っ昼間ムードテナー」のコーナーに専属サックス奏者として月1レギュラー出演しています。

やはり音楽家のことは百聞は一見に如かずではなく、一聴に如かずかと思います。
佐藤公彦さんがその半生以上を共に過ごしてきたサックスからは、決して真似のできない音が聴こえてくるようです。