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今回はPTA未加入者の卒業記念品による裁判についてです。
結論から言うとPTAが卒業記念品等の実費負担を、退会者や非加入の保護者に求めるのは違法ではありません。
実際、卒業記念品を必要と思わない保護者や、子供のことがネット上でも散見します。卒業記念品をいらないと言っている家庭に押し付けることはできません。
今回城陽市立寺田西小学校PTAでも、退会した保護者への対応として、実費負担についての内容があります。
PTAに入っていない保護者の子供が、卒業記念品をもらえるかどうかという問題はPTA問題でよく聞く話です。
これを考えるにあたり参考になる裁判が過去にありました。
それがいわゆるコサージュ裁判と呼ばれ、
1987年に堺市簡易裁判所で始まった裁判ですが、
下記の全国PTA連絡協議会のホームページでも書いてあります。1部ご紹介します。
まず裁判の争点として
「裁判は、PTAの退会後、未加入であることを理由に卒業式の記念品が受け取れない等の不利益が生じ、精神的苦痛を受けたとして、PTAと当該私立校の事務長を相手取った損害賠償請求です。
保護者が、以下を懸念したことが、PTAの保護者に対する不法行為として慰謝料の対象となるか、主な争点となりました。
- PTAの一連の行為が、保護者に対するPTAへの再入会の圧力ではないか。
- 同一仕様のコサージュが配布されないことによって、子どもが周囲の生徒からいじめに遭うのではないか。」
です。
そして大阪地方裁判所に移送され
「大阪地方裁判所の判決(2017年)
本件は、堺簡裁により大阪地裁堺支部に職権で移送され、その判決は、PTAに違法な侵害行為は認められないとして、保護者の請求は、棄却されました。
(大阪地堺支判平成29年8月18日平成28年(ワ)1357号)※以下は筆者の要約
- PTAの行為が悪質かつ悪辣であり、損害賠償が正当化される場合にその請求を認められるものと解される。
- 退会保護者は、その子どもに対してコサージュを配布する義務がPTAにあるというが、他人の子に対して保護者の団体であるPTAがそのような義務を負うものと損害賠償という形で強制されるべきものではない。
- そもそも、保護者は自らコサージュを用意して子どもに渡しているので、退会保護者が主張する損害の前提が存在せず、PTAに違法な侵害行為は認められない。」
との判決が出て、
さらには
「大阪高等裁判所への控訴(2018年)
この判決を受け、保護者は「PTAがコサージュの実費負担の申し出を拒否したことは、子どもに対する差別にあたり、憲法14条の平等原則、民法90条の公序良俗、教育基本法4条に違反する」として大阪高等裁判所に控訴しています。
裁判所は、これを棄却しています。
(大阪高判平成30年1月25日平成29年(ネ)2223号)※以下は筆者の要約
(大阪高判平成30年1月25日平成29年(ネ)2223号)※以下は筆者の要約
- 保護者はPTAを退会しPTAの構成員としての地位を失った以上、PTA側には退会した保護者の申し出をすべて受け容れる義務はない。
- PTAが任意団体である以上、構成員の子どもと退会した保護者の子どもとの間で取扱いに差異が生じるのはやむを得ない。
- 一方で、PTAは学校にコサージュの仕様を伝えて、退会保護者が用意できるようにしたのだから、PTAが退会保護者の子どもを差別したことにはあたらない。
- PTAの一連の行為が退会保護者に対して、PTAへの加入を強制するものとも認められない。」
が結論となりました。
PTAを退会したり、非加入でいる場合こうしたことに留意が必要です。
参考
寺田南小学校PTAの事例