熊本市PTA裁判を振り返る その4 被告の準備書面について | 義勇兵のブログ

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高校時代に芦原会館で空手を学び、武道・武術の研究がライフワークになりました。
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城陽市のPTAや学童保育所の保護者会の改革を行っています。


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今回は熊本市PTA裁判 その4 被告の準備書面です。

前回ご紹介した原告の訴状訂正申立書に対する、被告(PTA会長)の準備書面についてです。

この準備書面を被告が提出した時は、まだ被告は弁護士の依頼をしておらず(ブログ主注 後に4名の弁護士を依頼することになりました。)自分で準備書面を作成し提出しました。(ブログ主注 被告は法律の専門家)

提出は
平成26年9月12日に熊本簡易裁判所です。

この準備書面の中でご紹介したいのは、被告の入会手続きについての説明です。

「(2)被告の入会手続を法的にみれば、本件小冊子の交付が「被告への加入」という一種の契約についての被告からの「申込み」である。そして、加入を拒否しなければ黙示の「承諾」があったものとして加入契約が成立する。
 本件小冊子における「PTA会則の配布をもって入会の了承をしていただくことにしています。」との記載は、上記のような被告の入会に関する扱いの表明である。

 したがって、会則の配布という一方的な行為により会員となるわけではなく、配布に対して入会を拒否する意思表示をしないという態度により会員となる。

(3)書面か口頭で入会を希望する旨の意思表示をもって行うのが当然であり本来のやり方であるとの意見は争う。入会の意思確認は書面や口頭による方法に限定される理由はなく、それが本来のやり方である理由もない。

3 (3)について
 本件小冊子に、退会について卒業や転校による場合についての記載はあるが、意思表示による退会について触れられていない事実は認める。

4 (4)について
(1)原告が入会の意思表示をしたことがない事実は否認する。原告は、被告が任意団体である旨の説明のある本件小冊子の交付を受け、しかし、入会を拒否するような態度を表明せず、現実に被告による学校内外の活動の提供に異議を述べず、かえってその提供を受けていることにより、黙示的に入会の意思表示をしたというべきである。
(2)原告が被告に対して会費を支払った内心については知らない。」

上記の内容は、現在も多くのPTAが保護者を入会届の意思表示なく会員にしてしまい、学校もそれを知りながらPTA会費を引き落としを行っているのと同様の内容です。

熊本市PTA裁判では、この入会意思確認についての裁判所の判断を判決として出していない為に、PTAの在り方を変える判断を得ることができませんでした。

今も学校やPTAに非加入や退会の意思表示をしなければならない状況を考えると非常に残念なことです。

本来入会届を出したり、口頭で意思表示をしない限り会員にならないのは、どこの組織でも当たり前にもかかわらず、
日本においてPTAがそうした自動加入・強制加入を続けているところが多いのは大きな問題です。

またこののち原告が敗訴するのですが、敗訴の原因は退会届を原告が出していた事が大きかったと思われます。(もし会費の返還を求めるならば、退会届は出さず、入会していないので、会費を返して欲しい、と伝える必要かあります。)

しかし和解内容の

  • PTAが入退会自由な任意団体であることを将来にわたって保護者に十分に周知すること。
  • 保護者がそうと知らないまま入会させられたり退会を不当に妨げられたりしないようPTA側が努めること。

が、世間に知られたことによる啓発効果は大きかったと思います。

参考
木村草太さんのブログ記事