(ネタバレ含みます)
BiSHのドキュメンタリー映画「ALL YOU NEED IS PUNK AND LOVE」(エリザベス宮地監督)を、HUMAX渋谷にて観賞してまいりました。
これはプロレス映画でありボクシング映画であり、お笑い映画であり仁義なき戦いであり、最低の破廉恥映画であり最高の純愛映画です。
そしてこれは純粋にBiSHのみを追いかけたドキュメンタリーではなく、“BiSHのドキュメンタリー映画を撮るエリザベス宮地監督”のドキュメンタリーでもあるという、二重構造を持つ映画でもあります。
映画の最初にくだらないバラエティ番組の様な、どうしようもない破廉恥なミッションがエリザベス宮地監督に課せられます。
「何だこれは…!けしからん!」と、硬派として有名な私は席を立とうとしました(大嘘)。しかしよくよく考えてみれば、これはファンの欲望を代弁しているのではないのか…、という事にふと気付きました。
そしてそれを悟った瞬間、映画の観客は「あれはもう1人の自分なのではないか…。そうだ、俺が宮地だ!」と否応無しにスクリーンの中へと引きずり込まれてしまいます。そしてそれは、リング上のアントニオ猪木に己自身の姿を投影する猪木ファンの心理を「俺が猪木だ!」という、たった一言で見事喝破したターザン山本氏(週刊プロレス元編集長)の名言を実体験として再現してくれたのです。
また映画には渋谷という街が多く登場します。
これはドキュメンタリー映画なので、現実とスクリーンの中が地続きなのですが、その渋谷が沢山出てくる映画を渋谷の映画館で見るという、まさに地続きな状況と相成ったのであります。
最初に書いた通り、これは最低な破廉恥映画であり最高の純愛映画です。
人への純愛、エンターテイメントへの純愛、音楽への純愛、全てへの純愛。
感情の仮面を少しずつ剥がされ、精神がむき出しになるBiSH、BiS、GANG PARADEのメンバー。
精神的にフルチンにさせられたエリザベス宮地監督、本当にフルチンの渡辺淳之介氏。
カッコつけない事のカッコ良さに痺れました。
何かを好きになるというのは、こういう事なんだよ!と、映画に登場する全ての人々に突き付けられました。
DVD/Blu-ray化される事を切に願います!