「風立ちぬ」CMバージョン | BIGな気分で語らせろ!

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ビートたけしさん、北野武監督、たけし軍団、その他諸々について気が向いた時に。

大瀧詠一師匠の「NIAGARA CM SPECIAL Vol.2」。
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CMで炸裂するナイアガラ・ワールドを聴くことができる痛快な作品ですが、ナイアガラ&松田聖子ファンにとっては何と言っても「風立ちぬ」のCMバージョンが聴ける事に悶絶なのであります(因みにこのレコードは12インチの45回転盤、つまり音も良いのです)。
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そして後年発売された「大瀧詠一 Song Book I -大瀧詠一作品集 (1980-1985)-」の大瀧氏ご本人の解説で、この「風立ちぬ」レコーディング秘話が披露されたのでした(大瀧さん、ありがとうございます!)。

では以下、その大瀧氏ご本人の解説より引用させていただきます。

“で、苦労して作曲したのですが、ナント、肝心の御本人が歌えない(彼女は〈いい曲だが、自分には向いていない〉と思ったそうです)ということで、なかなかヴォーカル・ダビングが行なわれませんでした。取り敢えずCMだけでも、ということでCMバージョンが録音されましたが、多分一回か二回しか歌わなかったと思いますが、嬉しそうにスタジオを出てきて〈歌えました!〉と言っていた笑顔が印象的でした。
 その数日後、シングル・バージョンのレコーディングが行なわれ、6テイクとりましたが、全て見事に歌い切りました。”

スタジオを出て来る聖子ちゃんの笑顔が目に浮かぶ、素晴らしいエピソードですね。
そしてそのCMバージョンがこちら。

苦手意識が芽生えてしまった曲を、一回か二回しか歌っていないであろうにも関わらずこのクオリティ。
改めて聖子ちゃんの、シンガーとしての魅力に感服するばかりであります。

歌い回しがシングル、アルバム・バージョンと違うところがある事にも要注目ですね。やや荒削りなところ(本チャン・バージョンと比較したらの話ですが…)も、これはこれで魅力的です。

そして。
一回か二回しか歌っていないのに、やや荒削りながらもこのクオリティ…、で思い出した事があります。
それは、「ブルージュの瞳」「黄色いカーディガン」のボーカル・テイク違いの謎です。

この二曲は「CANDY」収録。
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そしてこの2曲は初期プレスのレコードと、それ以降に発売されたレコード・CDではボーカルのテイクが違う事は有名な話です。
もしかしたら聖子さんご自身がどこかでこの謎について発言されていて、もう解決済みの話かも知れませんが、私なりの推測を。

特に「ブルージュの瞳」を初期プレスのレコードのバージョンで聴くと、若干荒削りというか、歌い慣れていない感があります。この曲はキーが低い事もあり、少しばかり辛そうに感じます。これはある意味、デモバージョンに違いのでは⁉︎

では何故そういうテイクでプレスせざるを得なかったのか。
それはこの2曲の制作が遅れていたからではないかと思っています。と言うのも、両曲とも作曲は細野晴臣氏(奇しくも大瀧氏と同じ、はっぴいえんど出身ですね)です。細野氏は当時、それこそYMOの時からも真っさらな状態でスタジオに入り、そこから作曲する事もざらにあったそうです。「天国のキッス」もその様にしてスタジオで作曲したと発言されていた記憶があります。

もし「ブルージュの瞳」と「黄色いカーディガン」もそれと同じような手法で作曲されていたとすれば、制作が遅れたために慌ててボーカルを録音→止むを得ず歌い慣れていないバージョンで発売、という説もすんなりハマります。
そして後日スケジュールが合った時に改めて録音し直して、聖子ちゃんの納得のいくバージョンに差し替えたという流れなのではないでしょうか。
真相や如何に。

しかし仮に初期プレスのものが慌てて録音したバージョンだとしても、これを本チャンとしてプレスし続けても全く問題のない程の高いクオリティを持っています。

そしてもしこの説が合っているとすれば、改めて“恐るべし、松田聖子”です。これだけの実力があれば、そりゃあ周りの大人達も本気になって素晴らしい作品を残そうと躍起になるもんだと思います。

「風立ちぬ」CMバージョン、「ブルージュの瞳」「黄色いカーディガン」。これらのバージョン違いから見えてくる聖子ちゃんの凄さ。
アイドルとしてだったり、時代を象徴する存在としての側面ばかり語られがちですが、いちシンガーとしての素晴らしさについてももっと語られて欲しいな…、と思うのでありました☆

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