それは歌詞の
“死のうかってポツリ言うあなたは”と、
“あゝあなたと生きてみたい気がする”という一節は、「はっぴいえんど」に収録された「はっぴいえんど」の、
“しあわせなんてどう終わるかじゃない どう始めるかだぜ”
という歌詞の80年代版なのではないのかという事です。作詞は言うまでもなく、両方とも松本隆氏です。
当時20歳の、それも時代を象徴するアイドルであった聖子さんに「死」という歌詞を歌わせてしまう松本隆氏も凄いですが、その単語を重苦しさの欠片さえ感じさせずに歌ってしまう聖子さんもまた凄いと思います。そして重苦しさはないながらも、その単語の響きは決して軽々しくなっていないところに、松田聖子という存在の底知れない凄味を感じずにはいられません。
聖子さんが百恵さんに代わる“歌姫”になり得たのは、ポップな曲調の裏側には、実は百恵さんにも勝るとも劣らない“情念”が秘められていたからだと思います。
「SUNSET BEACH」はそんな聖子さんの凄味が、如実に現れた名曲だと思います。