「ファースト・デイト」 | BIGな気分で語らせろ!

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「ファースト・デイト」岡田有希子
作詞・作曲 竹内まりや
シングル盤は1984年4月21日発売。

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言わずと知れた岡田有希子さんのデビュー曲であり、ファースト・アルバムのラストを飾る曲でもあります。ご本人が出演した「グリコ・カフェゼリー」のCMソングでもあります。
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私は3分間の中にあらゆるドラマを描き出すのが究極のPOPSだと思っていますが、その意味ではこの曲はまさに究極です。

どんなドラマが展開されているのか、自分なりに分析してみます。

まず初めに。
この曲はイントロを除くと、
・サビ
・B
・B'
の3パートで構成され、それが巧妙に展開していきます。間奏、アウトロはサビの変形版です。

それでは分析を。
まずイントロ。このパーツは純粋にイントロのみに使われる“使い捨て”パート。ポイントはkeyのFmではなく、A♯m7から始まる点です。この時点ではイマイチkeyが掴みにくいという“着地点の見えない浮遊感”があります。

そして、そこに挟み込まれるCaugというコード。このコード、かなり不安定な響きです(映画やドラマでは、不安感や疑心暗鬼な気持ちを表す時に、効果音的な使われ方をしたりします)。それにしても、このコードをアイドルのデビュー曲に、それもイントロに使うか!という結構なインパクトがあります。

この次のサビが歌の始まり(誰にも優しい~)。不安感満載のCaugから、ちょっと疑心暗鬼な歌詞への展開が素晴らしいです。
そしてここでkeyがFmである事が提示され、聴き手の心に一応の着地点が与えられます。

で、お次がBメロ(ほんの気まぐれでしょ~、が始まり)。ここはA♯m7から始まりますが、このBメロの最初のコードはイントロと同じであるため、聴き手はここも着地点だと錯覚しそうになるのです。何処に行けば良いのか分からなくなって、何だかSOWA SOWAしてしまいますね。
(余談ですが、ここのコード進行は「さよなら・夏休み」のBメロと完全に同じです)

そして次に再びサビに戻り、2パターン目のBメロ「B'」に入ります(選んだわけは何故~、が始まり)。
この「B'」の最後の“何もかもが、バラ色に見えるわ”の部分で、コードがメジャーに展開します。
このパートがあるお陰でマイナーキーの曲であるにも関わらず、暗い印象で終わる事はありません。

メジャーに移行するコード進行と“何もかもがバラ色に見えるわ 初めてのデイト”という歌詞が相まって、明るい光が胸にすっと射し込むかの様です。竹内まりやさんお得意の、コード進行と歌詞のリンクがここでも存分に活かされています。

そこから間奏へ入ります。
この間奏はAメロと全く同じパターンです。

そして間奏が明けBメロに戻りますが、ここにもトリックがあります。

この間奏明けのBメロの始まりは“たそがれになる頃”で、ここから歌詞が唐突に始まるため一瞬、新たなパートが出現したのかと錯覚してしまいますね。

というのも最初に出てくるBメロの歌詞は“ほんの気まぐれでしょ”であり、その直前のAメロの“土曜のシネマに 誘ってくれたのも”とひと繋がりになっているため、BメロをBメロと認識し難くなっています。
この間奏明けのBメロの突然の主張には、突然土曜のシネマに誘われて翻弄される“クラスで一番目立たない私”の揺れ動く心を体感させられているかの様であります。

そして最後のサビ。ここで転調する事で一気に曲はドラマティックに展開します。

“好きよと ひとこと いつか打ち明けたい”

ついに本心を吐露する歌詞のクライマックスと、転調による音楽的なクライマックスのリンクが素晴らしいです(´Д` )!

この様に「ファースト・デイト」には色々な仕掛けはありますが、プログレの様に複雑怪奇なものではなく、POPSとして普通に聴けてしまいます。まるで短編映画の様に、3分間にドラマが詰まっていますね。

そして毎度の事ながら、竹内まりやさんが岡田有希子さんのイメージを、あまりにも見事に曲へと昇華させた事に感服してしまいます。有希子さんの奥ゆかしさ、謙虚さ、しなやかさ、そしてその奥に秘められた意思の強さ。それが見事に描き出されています。

「ファースト・デイト」というドラマティックな曲が生まれ、デビュー曲に選ばれた事は一つの奇跡だと思います。
少しビターでひねりの効いた大人の雰囲気のこの曲が、コーヒーゼリーのCM曲だったというのも妙に納得です。プリンのイメージじゃないですもんね。

素晴らしい曲を残してくれた、竹内まりやさんと岡田有希子さんに感謝!
そして、ちょっとだけはにかんだようなユッコ・スマイルは永遠です。
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では最後にコード進行を。

「ファースト・デイト」

Intro.
A♯m7 Cm7/A♯m7 Cm7
A♯m7 Cm7/A♯m7 Cm7
A♯m7 Cm7/A♯m7 Cm7
Caug

A.
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G C7
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G C7

B.
A♯m7 D♯7/G♯ Fm7
A♯m7 D♯7/G♯ Fm7
A♯m7 G on B/C C G C

A.
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7

B'.
A♯m7 D♯7/G♯Fm7
A♯m7 D♯7/G♯Fm7
A♯m7 G♯ on C/C♯M7 D♯7/G♯
A♯m7 D♯7/G♯/Caug

間奏.
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7

B.
A♯m7 D♯7/G♯Fm7
A♯m7 D♯7/G♯ Fm7
A♯m7 G on B/C C G C

A.
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7
Fm/Fm7 on D♯/C♯M7/C7 on G  C7

B'.
A♯m7 D♯7/G♯Fm7
A♯m7 D♯7/G♯Fm7
A♯m7 G♯ on C/C♯M7 D♯7/G♯
A♯m7 D♯7/G♯/Caug

A'
F♯m/F♯m7 on E/DM7/C♯7 on G ♯ C♯7
F♯m/F♯m7 on E/DM7/C♯7 on G ♯ C♯7

Outro.
F♯m/F♯m7 on E/DM7/C♯7 on G ♯ C♯7/F♯m