「リトル・プリンセス」 | BIGな気分で語らせろ!

BIGな気分で語らせろ!

気分だけでもBIGに。
ビートたけしさん、北野武監督、たけし軍団、その他諸々について気が向いた時に。

「リトル・プリンセス」
作詞・作曲 竹内まりや

シングルレコードの発売日は1984年7月18日、同年9月5日に発売されたLP「シンデレラ」の二曲目にも収録されています。
{2D4F7E8B-38C2-422C-9681-44288BEC0176:01}

岡田有希子さんのイメージにぴったりのシンプルで爽やかなポップ・ソングの名曲ですが、そこは流石の竹内まりやさん、分析してみると隠し味の効いたアレンジとなっております。

では、コード進行を記します。

「リトル・プリンセス」

intro.
G♯/G♯/C♯/C♯m/G♯/F/B♭m7/C♯

A.
G♯/Fm/B♭m7/E♭sus4 E♭
G♯/Fm/B♭m7/E♭sus4 E♭

B.
Cm7-5/F/B♭m7/E♭sus4 E♭

A.
G♯/Fm/B♭m7/E♭sus4 E♭
G♯/Fm/B♭m7/E♭sus4 E♭

B'.
C7/Fm/B♭7/E♭sus4 E♭

サビ.
G♯/Fm/B♭m7/E♭sus4 E♭
G♯/Fm/B♭m7/B♭m7 B♭m7-5

コード進行としてはポップスの黄金パターン(前回書いた「さよなら・夏休み」と共通する所多し)です。この黄金コード進行で有名な曲はTHE RONETTESの「BE MY BABY」がありますね。
あと意外な所では「ウキウキWATCHING」がそれにあたります。

この「リトル・プリンセス」は、まずイントロのバスドラムとベースのパターンからして「BE MY BABY」の変形版みたいで素敵です。そして3小節目から他の楽器も入りますが、このど頭のC♯→C♯mという流れの、懐かしの“胸キュン”感がたまりません。理論的な話は端折りますが、これはサブドミナント・マイナーと言ってアメリカン・ポップスでの定番パターン、大滝詠一さんも多用しています。他に歌謡曲でこれを印象的に使ったものとして思い浮かぶのは、松田聖子さんの「白いパラソル」。サビの“あなたを知りたい 愛の予感”という部分で印象的に用いられています。あの行き場のない切なさの様な浮遊感は、このサブドミナント・マイナーの所為だったのであります。

そして再び「リトル・プリンセス」。
構成は単純なA→B→サビのパターンに思ってしまいますが、Bメロに当たる部分が実は2パターンあります。
一番の歌詞でいうと、
昨日までの雨がまるで うそのようなお天気ね”が「B」。
“腕につかまって 歩くのが夢だった”が「B'」。

ここのコード進行がまたヒネリが効いていて、「B」では本来ならCmがくる所に不安定な響きのCm7-5を持ってきて緊張感を作り出しています(ジャズの2-5進行的ですね)。
そして、ここの不安定な響きのコード進行の部分の歌詞に“昨日までの雨”と“目が回るコースター”という、不安の象徴を当てているのは恐らく意図的なものでしょう。これは詞と曲を、同じ人が作るからこそ可能な事ですね。映像的なイメージとリンクするさまが、非常に素晴らしいです(´Д` )。

で、この部分が「B'」になるとメロディー、コード進行共に変形しサビへ繋がります。ここでの緊張感の秘密は本来B♭m7になる所に、B♭7を置いていることです。これはセカンダリー・ドミナントというものですね。ここでの緊張感は、不安感というよりは何か新しい希望が目の前に広がっている様な、そんな期待感に満ちています。

因みにテレビ版のバージョンで間奏明けのA&B'部分を丸々カットしたものがあり、有希子さんが構成を間違えてしまうものがあります。
そのバージョンでは、間奏→B→サビですが、本来サビ前は「B'」なので間違えても仕方ありません。ドンマイ!

そしてサビのラストの「B♭m7 B♭m7-5」という部分は「C♯ C♯m」とも置き換えられますが、そこを敢えて「B♭m7-5」を置く事により、コード進行に広がりと不思議な浮遊感をもたらしています。
ストレートなサブドミナント・マイナーを避ける事による幅の持たせ方。コード進行を拾ってみて「凄いなぁ…」と、ここには思わず感嘆してしまいました(´Д` )。

そして。
この曲こそ自分にとって岡田有希子さんのイメージ通りの曲であり、最高の「アイドルソング」だと思います。
歌い手本人のイメージと、曲のイメージがこんなにも絶妙にマッチした事があったのだろうか、そしてこれから先もあるのだろうかと聴くたびに思います。

「ステキの国からやってきたリトル・プリンセス」。あなたの歌声は今でも沢山の人の心に響いています☆
{03569965-4B23-4F24-A94F-963F83CB8CCE:01}