先日我が社のお客様の所へ伺い、色々とお話をする機会がありました。
そのお客さんは、珍しい職種で割り箸を作っている会社です。
仕事内容は、製造メーカーから仕入れた割り箸に、自社で印刷した箸を仕舞う小袋(ここをお客さんの要望に応じてオーダーメイドしている)をセットして、お客さんのところへ発送する、というものです。
ちなみに印刷の手法は、パソコンでデザインをして、そのデータを装置へ送ると、原盤用の板(プラスチック)にレーザーで画や字を焼き付け、この版を輪転機にかけて箸用袋を印刷するという、新しいシステムです。
大手では無いので、100コ単位の小口に細かく対応している、と言っていました。
コロナが流行り始めた一昨年は、外食がままならないので、かなり売上が落ちたようですが、その分テイクアウトや配達が伸びてきているので、会社が傾くほどでは無いようです。
さて、お伺いしたときに何時ものように「最近の売上はどうか?」という質問をしたところ、「あまり良くないが、夏場は例年売上が落ちるので、まぁこんな感じだよ」という返事でした。
「この時期はソバやそうめん、冷やし中華等が売れるから、かえって需要が増えるんじゃないの?」と、問いかけますと「割り箸は水分を含むと重くなるので、汁物はプラスチックの箸が主流になっているんですよ」というやりとりがあり、業界ごとに色々な事情があるもんだな、と感心しました。
確かにこの所食べ物屋さんで、プラスチックのお箸を目にする事が増えてきましたね。
この件では随分前に記事にした覚えがありますが、再度お話したいと思います。
随分前の時代は、食べ物屋さんには押し並べて割り箸が常備されていました。実はこれは江戸時代からの伝統でもあります。
20年程前からでしょうか、環境やエコが言われだし、使い捨ての割り箸が悪のように宣伝され、マイ箸が流行りました。
そして何度も再利用出来るプラスチックのお箸が増えてきて、未だに増え続けています。(特に大手の外食チェーンに多い)
一見使い捨ての割り箸と再利用できるプラスチック箸を比べると、プラスチックの方に軍配が上がるように思えます。
しかし、以前から申し上げているように、環境問題は簡単に割り切る事の出来る単純なお話ではありません。
まずは割り箸を見てみますと、その原料は殆どが間伐材(森林保護のために、余分な木を間引きしたもので、大きさが小さいので木材としての利用価値はない。)や枝打ちしたものです。
割り箸のために新しく木を切って資源を損ねているのならば問題ですが、間伐材を有効利用しているわけで、間伐材の他の用途はチップ化してボードなどの建材にしたり燃料として燃やす運命であります。他には堆肥に加えたり、家畜の敷き藁代わりに利用したり、という用途もあります。
割り箸使用後の処分方法ですが、元々の成り立ちが木ですから簡単に焼却処分することが出来て、焼却時に悪いモノは殆ど発生しません。
次にプラスチック箸ですが、原料はご存じの石油です。製造を行うに際して石油資源の浪費になります。
何度も再利用できるメリットは大きいですが、再利用に際して当然洗浄を行います。その時に洗剤を使用しますので、洗剤廃液が下水や河川に流れ込み、水質汚染に一役買っている事になります。
最後に廃棄するときは、焼却炉でダイオキシンを初めとする各種化学物質が発生しますので、高温で上手に燃やさなければなりません。
ちなみに両者のランニングコストを比べますと、割り箸は使用後に捨てる(当然そこに幾ばくかの処理代がかかる)だけですが、プラスチック箸は洗浄工程で洗剤代や水道代、人件費などがかかりますので、仕入れてから廃棄するまでのコストを比べますと、割り箸に軍配が上がるようです。
一見無駄のような使い捨て割り箸の方が、経済性に優れている訳です。
これらを比べて見ますと、必ずしも割り箸が資源の無駄遣いの悪で、プラスチック箸がエコな優等生であるとは言えません。
幾度も申し上げますが、環境問題は一元的に決めつける事は、決して正しい方法ではありません。