『大名華族』(蜂須賀家関連)の話――続き

 

 なんというかもう酷い話で、悪役が登場する時代劇見るような話であった。

 

 「腹は借りもの」のひどい話を聴かされる。
 九州の大名の江戸の邸には特別な女牢がある。主君の男子を産んだ女中を入れるための物。中国地方の大名のところでは男子を産んだ側室を井戸に投げ込む。蜂須賀家の老女からの説明。「子は主人の物ですが、お腹(はら)は下賤のものですから、うんでしまえば用はないのです。下賤な生母をそのまま生かしておくと、大きくなったお子様が生母を慕うようになって、お家の血筋の汚れとなります。お子様に早くいやしい自分の生母を忘れされるようにと、産室のうちの親子を分けてしまうのです」(40)

 (ハムスター以降は蜂須賀家から離れる)


・糸のむすび目(←これ本文中の小見出しです)
 武家の社会では、男が出仕して録を食むから、父祖の家禄を継承していくには男の相続者が必要となる。江戸期以降は俸禄が個人の働きよりも家につながるものとなったため、相続の意義は絶対的なものになる。
 武家の結婚は身分によって届ける先は異なるが、書式をもって上司の許可を得ることが必須であった。身分社会の維持も必要であったから通婚範囲も限られていた。父親が配偶者を選択し、娘の親との合意で結婚が決められる。上司に許可を得て承認された時に結婚が成立するので、一緒に暮らし始めるまえに夫が死んでしまえば妻は同居前に未亡人となる。
 妻の役目は男子を産んで家系を絶やさぬことであるため、妾は妻が推薦して持たせるものとされた。妾は夫の臣下となるので、妻とも主従の関係となる。