「ガシャン!」
大きな音を立てて、
娘が自分の身長と、
同じぐらいの高さに、
積み上げてたレゴが、
崩れて倒れた。
食卓に座ってた僕の方に、
泣きながら走って来て、
ひざに抱きついて来た。
「大丈夫!大丈夫!」
頭をなでて慰めるけど泣き止まない。
大粒の涙が、
ポタポタとズボンを濡らす。
僕は困り果てて、
「よしっ!今度はもっと高いのを一緒に作ろう!」
そう言って僕は、
おもちゃの方に走ってって、
一からレゴをくっ付けて重ねてった。
それを見た娘は、
涙をぬぐいながら、
僕に近付いて来て手伝い始めた。
その時ふと「EXPG
」で、
小学生にボイトレしてる時の事と重なった。
自分の今の能力じゃ、
出来ない事にぶち当たった時、
落ち込んでしまって、
レッスンの最後まで引きずる子と、
そうでない子がいて、
その後者の子は、
失敗した時すぐに立ち上がる事を、
家庭内とか学校内で、
自然と身につけているんだろうなって事だった。
僕も幼少期に大人に、
褒められた記憶が全然なく、
それが影響してたのか、
10代20代の頃はずっと、
引きずるタイプの性格だったので、
立ち直るのが早い子を見てて、
今そんな事を教えられた。
全ての人間が失敗する。
けど、
描いていた理想と違う事が、
目の前に起こった時に、
もう一度やり直す気持ちに、
自分でどう作ってって、
数時間後に新しい理想を又描けるかどうか。
そこまでを「成功」だとすると、
「失敗」とは、
「失敗を失敗だと思う事」で、
「成功」とは、
「失敗を失敗で終わらせない事」なんだと教えられた。
心理学では、
「自己肯定感(セルフエスティーム)」と言う。
テレビの中では相変わらず、
悲惨な事件が起こってる。
親に肯定されずに、
育ったと思われる子達が、
事件や事故に巻き込まれている。
でも、
さかのぼれば、
その親自身も子どもの頃に、
親から肯定されなかったのかもしれない。
そしてその親も又その親に…。
ってなるともう、
誰が悪くて誰を責めて、
誰を裁けばいいかなんて僕には分からなくなる。
だけど今日僕が出来る事は分かる。
今関わっている全ての人を、
日々認めて肯定して新しい理想を、
何度も描ける人になって貰って、
僕自身も理想を描き続ける人に、
して貰って生きて行きたいという事。
そんな事を考えてたら、
いつの間にかさっきより、
大きな高いタワーが、
目の前に出来ていた。
「かんせい!」
娘はハイタッチのポーズをした。
僕は思いっきり手を広げて、
小さな両手を叩いた。
娘は後ろに尻餅をついた。
「あっ!」
泣いてしまうと思った僕のよそに、
娘はすぐに立ち上がって踊った。
濡れていた僕のひざと、
娘の頬はすっかり乾いていた。
※上記写真:櫻井幹也(京都・伏見)


