「一人でいられる力」と「ひとりよがりにならない力」 | 奥田悦子のRISK WATCH

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一般社団法人 RISK WATCH 理事長、奥田悦子の公式ブログです。
備忘録みたいなものなので、いろんなことについて好きなこと、気になること、お知らせしたいこと、などなど、好きなように書いています。
誰かが幸せな気持ちになれるといいな〜と思ってます♡

ある記事を読んで、「ひとりでいること」について考えました。


その考え方にうなずく部分もありました。

けれど同時に、私は防災や危機管理に関わる立場として、もうひとつ大切な視点があると感じました。


人と無理に合わせなくていい。
ひとりの時間を大切にしていい。
誰かに理解されなくても、自分の内面を守っていい。


その考え方には、私も大切な部分があると思っています。


現代は、人とつながりすぎて疲れてしまう時代でもあります。


SNS、職場、地域、家族、学校。
いつも誰かの目や言葉にさらされ、自分の心が休まらない人も少なくありません。


だからこそ、「ひとりでいることを恐れなくていい」という言葉に救われる人がいることも、よくわかります。


けれど私は、そこに少しだけ立ち止まりたいと思いました。


ひとりでいられる力と、人と関われないことは同じではありません。
孤独を大切にすることと、他者を必要としないと思い込むことも違います。


人は、ひとりで考える時間を持つことで、自分の心を整えることができます。


けれど、人はひとりだけで社会をつくることはできません。


どれほど立派な考えであっても、それを誰かに届けるには言葉が必要です。
本にするにも、編集する人、届ける人、読む人がいます。


考え方は、他者に届いてはじめて社会の中で意味を持ちます。


つまり、孤独を語る言葉でさえ、社会のつながりの中にあるのです。


私は、ここを大切にしたいと思っています。


ひとりで考える力は大切です。
でも、ひとりで正しいと思い込まない力は、もっと大切です。


これは私自身に向けた言葉でもあります。


自分の考えを持つことは大切です。
でも、他人の考えを聞く力、違う意見に触れる力、自分の正しさを点検する力も必要です。


もし、人と関わる力を失った人が増えていったらどうなるでしょうか。


自分の考えだけが正しい。
自分を理解しない相手が悪い。
他人と合わせる必要はない。
周囲の声を聞く必要はない。

そんな人が増えていけば、家庭も、学校も、職場も、地域も、社会も、少しずつ壊れていきます。


そして、もしそのような人が大きな力を持つ立場に立ったら。
人の声を聞かず、自分の正しさだけで突き進む指導者になったら。


それは、とても危険なことだと思います。



防災や危機管理の現場でも、これは同じです。


災害時に必要なのは、知識だけではありません。
備蓄だけでもありません。
マニュアルだけでもありません。


人と話す力。
人の不安を聞く力。
違う立場の人を想像する力。
自分の判断を疑う力。
そして、誰かと力を合わせる力。


それがなければ、どれほど立派な備えがあっても、本当の意味で人を守ることはできません。


私は、RISK WATCHを通して、ただ防災を教えたいのではありません。


災害に強い人を育てたい。
危機に気づける人を育てたい。
そして何より、社会を壊さない人、誰かを守れる人を育てたい。


ひとりでいられる人を育てることは大切です。
でも同時に、ひとりよがりにならない人を育てることも大切です。


孤独は、心を整える時間。


対話は、自分の正しさを暴走させないための安全装置。


協調性は、社会を守るための力。


これからの時代に本当に必要なのは、ただ強い個人ではなく、他者と関わりながら自分を失わない人ではないでしょうか。


自分の考えを持ちながら、相手の存在も大切にできる人。


ひとりで立つことができ、必要なときには誰かと手を取り合える人。


違いを恐れず、話し合い、支え合える人。


私は、そういう人を育てたい。


防災という言葉の奥にあるものは、結局そこなのだと思います。


命を守るとは、人を育てること。
人を育てるとは、社会を守ること。


だから私は、これからも「いい人間を育てる」ということを、まっすぐに考え続けたいと思います。