奥田悦子のRISK WATCH

奥田悦子のRISK WATCH

一般社団法人 RISK WATCH 理事長、奥田悦子の公式ブログです。
備忘録みたいなものなので、いろんなことについて好きなこと、気になること、お知らせしたいこと、などなど、好きなように書いています。
誰かが幸せな気持ちになれるといいな〜と思ってます♡

シルバーウィークも最終日。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

少し間が空いてしまいましたが、感震ブレーカーについて考える続きを書きます。

 

設置して終わりではない。日常へ戻るところまで考えたい気づき


前回は、

 

「すぐ電気を切るのか、少し時間を置いて切るのか」
 

について考えました。


調べてみると、即時遮断にも遅延遮断にもそれぞれ意味があり、「この家庭なら絶対こちら」という一律の基準は示されていませんでした。
 

だからこそ、
 

自分の家ではどうなのか。
 

そこを考えて選ぶ必要がある、というところまで来ました。


そして私は、次のことが気になりました。
 

感震ブレーカーが実際に作動したあと、
 

電気はどうやって戻すの?
 

例えば、大きな地震があった。


感震ブレーカーが作動して電気が止まった。
 

でも幸い、家に大きな被害は見当たらない。
 

火災も起きていない。
 

家族も無事。
 

そんなときでも、ずっと電気を止めておく必要があるのでしょうか。
 

真夏ならエアコンを使いたい。
 

冷蔵庫も動かしたい。
 

スマートフォンを充電したい。
 

医療機器や見守り設備など、早く電源を戻す必要がある家庭もあるでしょう。
 

だから私は、
 

「電気を止める」だけではなく、「安全に電気を戻す」ところまで考えなければいけない
 

と思うようになりました。
 

調べてみたら、復電についてもちゃんと書かれていました気づき


内閣府が2015年に策定した「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」を改めて確認してみると、
 

ちゃんと、
 

「復電時の安全確保について」
 

という項目がありました。
 

そこでは、電気を再び使い始める前に、
 

  • ガス漏れがないか。
  • 電気製品に異常がないか。
  • 屋内外の配線に問題がないか。
  • 家屋に大きな損傷や傾きなどがないか。


そうしたことを可能な範囲で確認したうえで復電することが望ましいとされています。


さらに、電気を戻したあと、
 

焦げたような臭いを感じた場合には、すぐブレーカーを遮断して再度安全確認をすること。

 

原因が分からなければ電気の使用を見合わせること
 

まで書かれていました。


これは、とても大切な情報です。
 

最近の注意喚起でも同じことが言われています
 

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)も、2026年8月に地震後の電気・ガスによる二次被害について注意喚起を出しています。
 

復旧するときには、製品が損傷したり、水没したりしていないか、動作に異常がないかを慎重に確認するよう呼びかけています。(NITE)


また東京電力パワーグリッドも、ブレーカーから焦げ臭い臭いがする、異音がする、一部が溶けているなどの場合には、ブレーカーを操作せず連絡するよう案内しています。(東京電力)


つまり、
 

「地震で電気が止まったら、何でもすぐONに戻せばいい」
 

ということではありません。
 

でも反対に、
 

「一度感震ブレーカーが作動したら、専門家が来るまで絶対に戻してはいけない」
 

という単純な話でもありません。
 

大切なのは、
 

安全を確認して、正しい方法で復旧すること。
 

なのだと思います。
 

ここで、私はまた考えました。

 

復電についての情報は、ちゃんと存在していました。


これは大事なので、きちんと書いておきたいと思います。
 

でも。
 

感震ブレーカーについて目にする情報の多くは、
 

「地震を感知します」
「自動で電気を遮断します」
「電気火災を防ぎます」

 

というところまで。
 

では、そのあと、どうやって日常へ戻るのか。
 

そこまでを一連の流れとして知っている人は、どれくらいいるでしょう。
 

もちろん、取扱説明書を読めば書いてあるかもしれません。
 

ガイドラインを探せば出てきます。
 

ホームページにも情報があります。
 

でも私はやっぱり、


「情報が存在すること」と
「必要な人に届いていること」は違う

 

と思うのです。
 

感震ブレーカーは「作動して終わり」ではない気づき
 

考えてみれば当たり前です。
 

感震ブレーカーを設置する目的は、
 

電気を止めること
 

ではありません。
 

地震による電気火災から命や暮らしを守ることです。
 

そして地震が収まったら、できるだけ安全に、いつもの生活へ戻っていく。


そこまでが防災だと、私は考えています。
 

私が防災のお話をするとき、よく 

 

Stay Safe
 

という言葉を使います。
 

私にとってStay Safeは、単に「災害を生き延びる」という意味ではありません。
 

私たちには、災害が起きる前の大切な日常があります。
 

災害が起こる。
まず自分でできることをする。
 

周りの人と助け合う。
必要なら公的な支援を受ける。
 

そして、
また大切な日常へ戻る。
 

防災は、そこで循環していると私は考えています。
 

だから感震ブレーカーも同じ。
 

知る。
選ぶ。
備える。
作動する。
安全を確認する。
復旧する。
日常へ戻る。
 

ここまでを一つの安全対策として考えたい。
 

では、「電気を戻す前」に何を見る?
 

この部分については、安易に
 

「この5項目にチェックが付いたら電気を戻して大丈夫!」
 

というようなチェックシートにはしたくありません。
 

地震で傷んだ配線などは、外から見ただけでは分からない場合もあります。

 

内閣府の資料でも、電気使用再開後しばらくは異常がないか注意する必要があるとされています。(防災情報ポータル)
 

だから私たちが作るなら、


「復電しても安全だと保証するチェックシート」
 

ではなく、
 

「電気を戻す前に、異常を見落とさないための確認シート」
 

にしたいと思っています。
 

そして、
 

「こんな場合は自分で戻さない」
「こんな異常があれば専門家へ」
「復旧したあとも、ここを確認する」

 

というところまで、消防、電気の専門家、メーカーなどにも確認しながら作っていきたい。
 

「設置してください」だけではなく気づき
 

今回、感震ブレーカーを調べ始めたきっかけは、
 

住民の皆さんに感震ブレーカーを紹介するためでした。
 

でも調べれば調べるほど、私が伝えたいことは、


「感震ブレーカーを付けてください」
 

ではなくなってきました。
 

今は、
 

「あなたの家ではどうですか?」
 

と問いかけたい。
 

電気が止まったら、何が起きる?
 

誰が困る?
 

何を準備する?
 

どんな製品を選ぶ?
 

そして、


電気が止まったあと、どうやって安全に日常へ戻る?
 

そこまで自分の家のこととして考える。
 

それが、本当の意味での防災なのではないでしょうか。
 

感震ブレーカーは、小さな装置です。
 

でも、この小さな装置について丁寧に考えていくと、
 

「安全対策を人に勧めるとはどういうことなのか」
 

という、とても大きな問題につながってきました。
 

私はもう少し、この先まで考えてみたいと思います。

 


次回


感震ブレーカー9
「家庭に合わせて選んでください」


でも、私たちは何を見て判断すればいいのでしょう?
 

国も横浜市も、
 

各家庭の生活環境に応じて選択することが重要
 

と回答しています。
 

私もその通りだと思います。
 

でも、その判断を住民自身に求めるのなら、
 

住民が判断できるための道具も必要なのではないでしょうか。
 

そこで今、RISK WATCHでは、
 

「電気が止まったら、わが家では何が起きる?」
 

というところから考える、新しい確認シートを作り始めています。
 

次回は、その考え方について書いてみたいと思います。

 

 

最後に…

災害や事故に遭ってしまった方々へ、お見舞い申し上げます。

どんな時も、みんなが自分の命を自分で守れるように。

みんなが笑顔で過ごせる毎日を目指して。