〜2015年5月11日〜

退院後、初登園の日。

先生に抱っこされたうちの子の後ろについて保育室に入ると、
数人のクラスメイトがすでに登園していました。
6人くらいだったかな…。

先生が「○○ちゃんが来たよーー!!」
声をかけるとみんな一斉に集まってくれました。

おそらく、人知れずひっそりと身支度したかっただろう怖がりの我が子は
「ちょっ…!エッ?!ポーン」となってました。

我が家の事情については、
事前に先生からクラスのお子さんたちにしっかりご説明頂いていたし、
親御さんたちには、私が4月の懇談会で(努めて笑顔で)お話させてもらっていました。
だから、子供達はちゃんと我が子の体の状態を分かってくれていました。


男の子は、
本当に腕ないの?
大丈夫なの??
一緒に遊べる??

女の子は、
どっちの腕がないの?
お手伝いするよ!
一緒にやろうね!!

てんやわんや。

園帽子を脱ぐと、さっそくみんなが脱毛対策の帽子に反応しました。

「ねぇねぇ、なんで帽子の中に帽子かぶってんの??」

え?どれどれ何?
えー!○○ちゃん来てるの?
帽子って何??
僕も見たい!私も見たい!

次々登園してくるお友達も加わり、
だんだん押せや押すなの状態になりました。
そして、あっというまにうちの子と私があんことなった園児饅頭が完成。

私は、まずい!胸のカテーテルがっ!と焦りましたが、
おしくらまんじゅうになる前に先生が止めてくれました。

「○○ちゃんの事はママがお手伝いしてくれるから、みんなは自分の事しようねー!」と。

みんなとっても素直でした。
あっというまに饅頭解散。

怖がっていたうちの子でしたが、
みんなに囲まれてスーパースター気分を味わったのはまんざらでもなかったようです。

「みんな来ちゃったら、おしたくできないじゃないのー!」と言いながら
デレ顔のニッコニコ。
素直じゃなくてごめんなさい。

本人の頑固な意志と頑張りを尊重し、
いつも私はギリギリまで手伝わないスタンスをとっていました。

初登園の緊張もなんのその、懸命に一人でお支度を始めました。

何人か女の子が心配そうに、手伝うよと来てくれてるのですが、

「だいじょうぶ、ひとりでできるよ。」

クールなうちの子。
クール過ぎて見てる私はヒヤヒヤしていました。

でも、みんなそのままうちの子をジーッと見つめていました。
うちの子に対する興味津々さと、お手伝いしたいという意欲が交錯してるような様子で。

しかし、どこ吹く風の我が子。

右肩から腕を失っているので、
園のリュックは胸の上あたりでチェストベルトをかませて何とか背負っていました。

またも、鉛筆描きの絵で申し訳ないです。
こんな感じです。

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肩パッドの中身はただの綿でしたので、重さに耐えられるものではありません。
実質、右肩の紐をチェストベルトで左側に引き寄せて、左肩だけで背負っている状態でした。

ベルトのバックルは片手での着脱が難しく、大人の手が必要でした。

バックルを外してやると、そそくさと足にリュックを挟みチャックを開けて…。
中身をどんどんひっぱり出してお支度をしていきます。

片手だとそうテキパキとはいかないので、見た感じはとても必死に見えました。
でも本人の表情は「無」。
たぶん緊張もしてるんでしょうが…体の動きと表情が一致せず、我が子ながら見ていて不安になる私…。

なんにせよ私は声かけをするだけで十分でした。
「タオルはあそこにかけるみたいよ。」
「それはここにおけば良いよー。」

最後に、リュックと脱いだブレザーをロッカーにしまいました。

切断後、誰にも甘えない姿勢で懸命に頑張ってきた我が子。
しっかり経験値を得ていたんですね、予想外なほど独力で物事をこなしました。

しかしスモックは一人で着ることができず、私が手伝いました。
(今お着替えはほぼ1人で出来ます。)

何とか着替え終わると、お友達が次々集まってきました。

そして、質問ぜめが始まりました。

真顔ねぇねぇ、本当に腕ないの?

ニコ…。…。

我が子が黙ってしまうので、代わりに私が答えました。
答えたくない質問、答え方の分からない質問にはママが答える。
そういう約束をしてたので。

真顔そうなんだよー、○○ちゃんは病気で腕が無くなっちゃったの。

真顔え?でも、そこに腕あるのに?

真顔そうだね。お洋服のお袖、腕があるみたいだね。でも、腕そっくりのものが入ってるだけなの。

真顔えー!それ見たい!

真顔うん、でもごめんね。お洋服にくっ付いてるから、見せてあげられないんだ。ごめんね。

真顔ねぇどうやって腕とったの?切ったの?

真顔そうだよ、悪い病気をやっつけるためにね、手術っていうのでね、お医者さんに切ってもらったの。

真顔どうやって???

真顔それはねー…、お医者さんにしか分からないんだよー。手術っていうのはお医者さんにしかできないから。おばちゃんも見せてもらえないから分からないんだー。

真顔…痛かったの??

真顔ううん!全然痛くないんだよ。お薬でぐっすり眠って痛くないようにしてもらってから切ったんだよ。だいじょうぶだったの。

この「どうやって切ったの??」という質問。
絶対出てくると予想していたから、どう答えるか凄く悩みました。
そこで、担任の先生と主治医、それぞれにご相談しました。

みんなで出した答えが上記。
あえて手術のリアルを年長の幼稚園児に教えなくても良い。
サラッと「分からないんだー」で流してみましょうか…。
是か非か分かりませんが、みんなで考えて捻り出した回答でした。

質問ぜめはまだまだ続きましたが、長くなるのでここで止めます。


朝の会が始まりました。
私は保育活動の邪魔にならないよう、部屋の隅に控えました。


子供達が先生の周りに集まります。
同じバスコースの子、
去年、一昨年、同じ組だった子。
みんながうちの子の手を引いて一緒に座ってくれました。
腕クッションの右腕を掴んで「???」となってる子もいました。
当の本人はあまり気にしていませんでした。

先生が出欠を取ります。

うちの子の名前が呼ばれます。
左腕を上げて
「はい!!」と大きな声でお返事をしました。

全員の出欠を確認した後先生が、
「今日ははじめて△△組のみんなが
一人もお休みすることなく、
幼稚園に来てくれました!!
○○ちゃんが来てくれて△△組みんなが揃いました!
先生とっても嬉しいです!」

そう言ってくれました。

朝のお歌を唄います。
ものすごく照れ臭そうだけど、しっかりと歌う我が子。
入院中あまり園の事を口にせずにいたこの子が、お歌を忘れていなかった。

涙が出てきます、我慢できませんでした。
私の下まぶた頑張れ、こぼさないでくれ!
そんな状態でした。

そして、卒園アルバムの撮影のためお外に出ることになりました。

そう、今日はこの為に幼稚園に来たんです。
こっからが本番!大丈夫かな私の涙腺…想像以上に心が震えてたまりませんでした。