娘の運動会だった。

しかし朝6時からまた口数少なく、
彼は無視のような弁当作りから始まった。

「私が何かしたんだろうか」
「昨日の息子の件が尾を引いているんだろうか」

俺が適当におかず詰めるから
おにぎりだけ握ってくれたらいいから、と
体を気遣ってくれてるのか、
それとも話すらしたくないのか、
私はそれにビクビクしながらおにぎりを握った。

おにぎりを握り、娘を学校に送り出し
お婆ちゃんを家まで車で迎えに行き、
夫はすぐに戻るからと車を置きに行った。

その間も会話らしい会話はなく、
30分から40分くらい経ったころ、
ようやく学校に来た。
何をしていたのか、
もう聞くのも一触即発で怖かった。

泣きそうな気持ちだったが、
母の話を相手し、娘の晴れ姿を撮り…
夫はその間はずっとシートの上で寝転がり、
携帯を触るか寝ているか。
夫が何を考えているのか全くわからなかった。
話しかけても無視もしくは短い生返事。

これが怖い。

運動会が終わり
「ちょっと早いけど弟んとこ行ってくるわ」と。
15時からの約束だったが
帰宅したのは18時を回っていた。

帰るなり

「俺、これからはいい父親になるわ。
もう逃げへんし、きちんとみんなと向かい合うわ」

いきなり言われてビックリしたが


それを聞いて「ホンマに?キチンと向かい合ってくれるの?」と私は涙ぐんだ。
朝からの無視や生返事の態度が一変し
私も気持ちがほころんだのだろう。

「ああ、約束する。その代わりお兄ちゃんの奨学金の話は俺に任せてくれへんか?」

それとこれとは話が違うと感じ、私は問い返した。

「え、それは弁護士さんを立てるて貴方がいうたやん、その打診を言いにも26日は行くんや、て」

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「弟いわく、どっちも子供の喧嘩やからどっちかが大人にならなあかん、だからこっちがお兄ちゃんに直接、一度奨学金の返済の話はしようと思うんや」

というので

「機関保証に変えるための?」と聞くと夫はそうやと答えた。


「じゃ、具体的に期日を切ってほしいです。
ダラダラと伸ばして結局卒業前や卒業後なんかになると意味ないから」

と私は答えた。

「それはもちろん言うで」というので

「だいたいどのくらいを考えてる?」と聞いたら

「10月が時間なければ、遅くとも11月の末にはと考えてるよ」と夫は返した。

じゃ、電話してみて下さいというと
息子と話を始めた。

これからはいい父親になるからな、
とは息子にも約束していた。

そのあと「お母さんと話してみるか?」と
私に彼の電話を渡してくれ、
2時間くらい話していたかな、
いろんな誤解を息子と二人で解いた。

その間に次女と末娘にも
「今までは悪かったな、これからいい父親になるからな」とリビングで話したらしく、

末娘に至ってはハグまでして

「いいお父さんになるからな」と言われている。

電話が終わり、
夫に本当にありがとうというと
どういたしまして、という割には目を合わさずに不機嫌だった。

また何か悪いことをしたのかと不安になった。