リクエスト作品です!
少々長いですが読んでいただけたらと思います!
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自分では好きじゃないと思っていた。
だけどそれはただの思い込みで、本当は好きだったみたいだ。
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あなたに出会ったのは某SNS
別に普段からよく使うわけでもないのに、その日は何故だか開いていた。
開いたところでただ人の投稿を見ているだけ、自分が投稿するのは数か月に一回くらい。
ほんと、やっていても意味ないじゃないかってくらい投稿しないし、開きもしない。
そんな私のところにDMが来ていた。
『こんにちは、お話してみたいです!』
なんで私なのだろうか。
私なんかよりももっといい投稿をしている人は山ほどいるのに。
でも何故だろう。どうしても気になってしまう。
「こんにちは、私なんかでよければ是非お願いします。」
ここから会話が始まった。
話していくうちに相手のことが分かった。
名前は田村保乃、歳は20歳で私より一個上、そして大阪で暮らしている。
何故彼女が私に話しかけたのか。
それは私がただ自分の気分で撮って投稿した写真をたまたま見かけてそれが気に入ったらしく、話してみたくなったらしい。
ただスマホで撮っただけの写真のどこが良かったのか私にはわからない。
でもまぁ、感じ方は人それぞれだしそこまで深く考えたりはしない。
保『由依ちゃんは好きな人とかいないの?』
「別にいないですかね」
保『ふ~ん』
「急に何ですか?笑」
保『いやー、保乃、話していくうちに由依ちゃんのことが気になっちゃってさ』
「そ、そうですか」
保『急にごめんね、引いたでしょ?』
「いえ、別に引くことはないです。ただ驚いただけで」
保『優しいね』
「普通だと思います。」
保『由依ちゃんは優しいよ、だって誰かも知らない人とたくさん話してくれるし、私が気になってるって言っても受け入れてくれるし』
「別に、、」
保『ねぇ由依ちゃん』
「はい」
保『保乃、由依ちゃんの声が聞きたい』
「え、えっと、それって、、」
保『電話がしたい、、だめ、かな?』
普通ならここは断るべきなのだろう。
だが、私は昔から人の頼みを断れない性分で許可してしまった。
「い、いいですよ」
保『やったー!』
「で、でも何で電話しますか?」
保『んー、LINEはどうかな?』
「わかりました。」
保『じゃあ保乃のQR送るね』
「ありがとうございます。」
追加、、してしまった
「追加しました」
保『ありがとう!』
それからというもの、毎日彼女と電話するようになった。
保:“でね、その友達がさ~”
“ふふ、面白いですね”
保:“でしょ笑”
別に話すのは好き、それに彼女の声はすごく落ち着くしたくさん話していたい。
それに普段から人と関わることをあまりしない私にとって、こんなにも友達のように話せる相手がいることが新鮮で仕方がなかった。
保:“あ、もうこんな時間、由依ちゃん眠いでしょ?”
“ん、大丈夫です。”
保:“ふふ、声がもう眠そう、眠いよね”
“正直、、眠いです”
保:“ごめんね、そうだよね、寝てもいいよ”
“でもそしたら保乃さんが暇になっちゃう、、”
保:“保乃のことは気にしないで寝な”
“それじゃあ、そうします”
保:“うん、おやすみ”
“おやすみ、なさい、、”
彼女とはいつも寝落ち通話しているため、どっちかが寝たら会話はそこで終了するがお互いが起きてもまだ繋がっているから朝起きたらまた話す、そして学校になったら切るを繰り返している。
夜もいつも遅くまで話しているが、基本的に私が先に寝ていることがほとんど。
どうしても睡魔には勝てない。
そんなある日、あと少しで寝そうという時に彼女がこんなことを言った。
保:“ねぇ、由依ちゃん”
“ん、はぃ、、”
保:“好きだよ、大好き、付き合って”
“、、、”
聞き間違いかと思った。
だって、ただSNSで知り合っただけの間柄。
電話をしている仲ではあるが、顔だってきちんとは見たことないし、会ったことすらない。
でも、前に気になっているといわれていたし、なんていうか、、難しい。
保:“由依ちゃん?”
“あ、ごめん、なさい、ちょっと眠くて”
本当に眠いが今は違う。
この状況を理解できていないから言葉が出ないのだ。
保:“困らせた、よね、、”
“いや、その、なんていうか、、はぃ”
保:“ごめんね、気にしないで”
好きと言われて悪い気はしなかった。
だけど、私が彼女のことを好きかと言われると多分好きではない。
だってそういう風に見ていなかったから。
別に彼女が女性だから答えられないというわけではない。
ただ、好きでもない相手と付き合うのは、その人に失礼なのではないかと思う。
だから私は断った。人生で初めて人からの「頼み」というか「告白」を断ったのだ。
“ごめんなさい、告白はもちろん嬉しかったです。でも、私は保乃さんをそういう風には見ていないので、なんていうか、、ごめんなさい”
保:“お返事ありがとう。全然大丈夫だよ、保乃が勝手に好きになっただけだから、きちんと言ってくれてありがとう”
“はぃ、、”
そこからの記憶はほぼない。
あの後すぐに睡魔が襲ってきてそのまま寝てしまったのだ。
次の日携帯を見ると、彼女との通話は彼女の告白を断ったすぐ後で終わっていた。
「彼女の事、悲しませちゃったかな、、」
正直今まで人の頼みを断ってこなかったのは、相手にどう思われるか気にしてしまうから。
相手を傷つけてしまうのではないか、相手が困るのではないかといろいろと考えてしまうからなのである。
だから今回、保乃さんの告白を断ったことで私の心はいろいろな思いで渦巻いている。
悲しませたかな、怒らせたかな、もう話してくれないかな、、
それから彼女と話す回数が減った。電話もあまりしなくなった。
そんなある日、久しぶりに連絡がきた。
保『久しぶり』
「お久しぶりです。」
保『あのね、私、彼女できた』
「そう、ですか。」
保『うん、だけど、もしよかったら由依ちゃんと前みたいにこれからも話したいなって思って』
「是非、保乃さんがよければ」
この会話をしてから数日彼女と話すことはなく、今までの会話を見返していた。
そして気付いた。
「あれ、なんでこんなに気になってるんだろう、、」
前までは会話を見返すこともしなかったくせに、今になって見返して、彼女からの連絡が来ることを待っている。
「おかしいな、好きじゃ、ないのに、、」
好きじゃない、そう思ってた。
いや、思い込んでいたんだ。
保乃さんに彼女ができたと言われてからこの気持ちに気づいた私は馬鹿だ。
「なんで今更、、」
気付いてしまったのだろうか。
このまま気づかないでいればきっと普通に話すことができたのに。
保乃さんに前みたいに話したいと言われて自分も承諾したのに、私はその日、彼女の連絡先を消した。
DMの会話もすべて消した。
そうしなければ私の中から彼女への気持ちが消えないと思ったから。
でもそれは無駄な悪あがきで、あれから数か月が経っても私は彼女のことを思い出してしまう。
何かあるたびに彼女が出てきて心が苦しくなって、なんであの時気づけなかったんだろうって後悔して。
彼女のことを忘れたくて誰かのことを好きになろうと思っても、やっぱり彼女が出てきてしまう。
私はこの先恋愛をすることができるのだろうか。
きっと、好きな人ができても保乃さんの事を思い出すんだろうな。
それなら、いっそのこと恋愛なんかやめよう。誰のことも好きにならない。
そう決めた。
でも、彼女と同じくらい好きな人ができてしまった。
理「由依、好きだよ、私と付き合ってほしい」
「、、、」
ここで言わなければ、また前みたいに後悔する。
「私は、、」
保乃さん、私はあなたのことが好きでした。
ただ、気づくのが遅かったみたいです。
あの時もし気づいていたら何かが変わっていたかもしれない。
今、もしかしたら私の隣で笑っているのは保乃さんだったかも。
でもいいんです、あの時の後悔のおかげで今私はすごく幸せだから。
私の隣で笑ってくれている彼女に出会えたから。
ねぇ保乃さん、出会ってくれてありがとう。話してくれてありがとう。
あの日々は忘れません。
どうか保乃さん、幸せになってください。
そして、、
「大好きでした。」
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