図書館情報資源概論レポート(2022) | Every book its reader.(いずれの本にもすべて,その読者を。)

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(設題)

公共図書館が地域資料を収集するのはなぜかを考え、地域資料の特性と今日の課題としての地域資料のデジタルアーカイブ化について論じなさい。

 

1.序論

 地域資料とは、当該地域を総合的かつ相対的に把握するための資料群で、地域に関するすべての資料および地域で発生するすべての資料である。本論では、地域資料を収集する根拠、地域資料の特性、地域資料のデジタルアーカイブ化の方向性について述べ、結論として私見を述べる。

 

2.本論

(1)地域資料を収集する根拠

 公共図書館で地域資料を収集する根拠は、図書館法第3条第1項にある。「郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料を収集し、一般公衆の利用に供すること。」とあり、公共図書館が責任をもって資料を収集し、利用者に提供することが重要な業務の1つである。

また、『図書館の設置及び運営上の望ましい基準の見直しについて(平成24年文部科学省告示)』において、「図書館が従来担ってきた役割、すなわち、住民の身近にあって、図書やその他の資料を収集、整理、保存し、その提供を通じて住民の個人的な学習を支援するという役割に加え、特に近年は、地域が抱える課題の解決に資するための、就業、子育て、教育、健康・医療、法律、地方公共団体の政策決定 等に関する情報や地域資料等、地域の実情に応じた情報提供サービスを行うことが必要である。このため、貸出、リクエストサービス、レファレンスサービスの充実や、地域の関係機関・団体との連携・協力が重要である。」とあるように、図書館は地域の課題解決に取り組むことが求められており、その地域課題を解決するのに重要な役割を果たしている地域資料を収集することは図書館の必須業務である。

 

(2)地域資料の特性

 地域資料は、かつては郷土資料ともいわれ、図書館資料の種類の1つで、図書館の所在する地域や自治体に関係する資料である。現在、公共図書館で収集されている資料には、郷土に関係する資料の他、「その地域で生産された出版物」や「地域在住の人が出版した著作物」「口承伝承による言い伝え」など、その地域でしか入手できない資料を中心に収集、提供している。具体的な地域資料としては、地域図書・雑誌、地図、地域新聞(新聞切り抜き)、(小冊子)、点字資料、ポスター等の印刷資料がある。

 近隣の〇〇市立〇〇図書館では、行政資料のコーナーと郷土資料のコーナーを設置している。郷土資料のコーナーは、「郷土資料:〇〇市関連、○○大震災」と「郷土資料:〇〇市関連、〇〇県関連、〇〇区関連、〇〇県史、〇〇市史、〇〇市會史」の2つに大きく分かれている。

〇〇大震災において〇〇は大きな被害を受けている。『〇〇大震災 対策等の記録』や『〇〇大震災 救護活動の記録』、『〇〇大震災5年 被災者5000人実態調査』など、震災関連の資料は被災地特有の資料であり、被災当時や被災後の実態を知る上で非常に貴重な資料である。また、今後の震災対策等を考える上で後世に永続的に受け継がれていかねばならない地域資料の1つであるといえる。

 

(3)地域資料のデジタルアーカイブ化の方向性

 デジタルアーカイブとは博物館や図書館等が保有する無形、有形の文化財を電子媒体での映像、文書に記録しデーターベースとして保存することである。電子媒体は経年劣化することなく保存できる上、インターネット上で公開すれば世界中からアクセス可能となる。日本では、2011年の東日本大震災を機に記録を保存しよう、アーカイブしようという動きが高まった。

 〇〇市立〇〇図書館では、外国人居留地に関する資料や昭和13年〇〇大水害の被災状況を記録した絵巻物・スケッチといった、郷土の歴史を学ぶ上で欠かせない資料について、平成18年度文部科学省「社会教育活性化21世紀プラン」事業としてデジタル化を行い、インターネット上で公開している。現在では航路図や錦絵、居留地関係資料など572点を掲載している。また、市役所のホームページでは〇〇大震災の震災資料室として、震災復興の記録写真や映像、震災後10年間の記録(年表)などが公開されている。

 こういった歴史上の貴重資料や、震災に関連する資料などの地域資料をデジタル化して保存し後世に受け継いでいくこと、またその資料を誰もがアクセスしやすいように広く公開していくことが地域資料をデジタルアーカイブ化することの大きな意義であり今後更に推進されていくことが望ましい。

 

3.結論

 これまで述べてきたように、地域資料はその地域の歴史やその地域で起きたできごと等を記録する貴重な資料であり、地域の課題解決には必要不可欠なものである。今後も公共図書館には、地域の情報拠点として地域資料を収集するという重要な責務を果たすことが求められる。また、収集した地域資料を永久的に保存し広く公開するためには、資料のアーカイブ化が必須である。博物館など他の公共施設とも連携し、後世に残すべき資料を見極めること、少しでも多くの資料をアーカイブ化し引き継いでいくこと、そしてそれを担う人材の育成を行うことが公共図書館の大きな役割である。

 

(参考文献)

時実 象一著 『デジタル・アーカイブの最前線』 講談社 2015.2

藤田 岳久編著 『図書館情報資源概論』 学文社2016.10 (P32~37)

日本図書館協会 『図書館用語集 四訂版』 公益社団法人日本図書館協会 2019.6 

デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会・実務者協議会

『我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性』

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_kyougikai/houkokusho.pdf

(参照2022.04.21)

文部科学省、『図書館の設置及び運営上の望ましい基準の見直しについて』

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/01/31/1330310.pdf

(参照2022.04.21)

 

(講評)

1,2,3と見出しについて順序立てて記述できています。
具体的な公共図書館のデジタルアーカイブ事例を示してまとめている点を評価します。

 

先輩方のブログで地域資料の具体例を書いた方がよさそうだったのでそうしました。

選択科目の図書館情報資源特論もとっていて参考資料等が共通するので、教科書と参考文献をまとめて読んで2つ一気にレポートに取り組みましたニコ