〔1〕仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の控除の特例

 事業者(免税事業者を除く)が、国内において行った課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。)又は特定課税仕入れについて、仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、一定の方法により計算した金額を、その仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額とみなして、仕入れに係る消費税額の控除を適用する。

 なお、仕入れに係る対価の返還等とは、返品・値引き・割戻しによる、課税仕入れに係る支払対価の額若しくは特定課税仕入れに係る支払対価の額の全部若しくは一部の返還又はその支払対価に係る買掛金その他の債務の額の全部若しくは一部の減額をいう。

 

 

〔2〕課税仕入れ等の税額の合計額の計算方法

(1)全額控除の場合

 課税仕入れ等の税額の合計額 − 仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注)の合計額

 

(2)個別対応方式の場合

 ①+②×課税売上割合等

 ①課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額 − 課税資産の譲渡等にのみ要する仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注)の合計額

 ②共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額 − 共通して要する仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注)の合計額

 

(3)一括比例配分方式の場合

 (課税仕入れ等の税額の合計額 − 仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注)の合計額)×課税売上割合

 

(注)課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に7.8/110(軽減対象資産の譲渡等に係るものは、6.24/108)を乗じて算出した金額及び特定課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に7.8/100を乗じて算出した金額。

 

 

〔3〕消費税額の加算

 仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を、その課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額から控除して控除しきれない金額があるとき、その控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。

 

 

〔4〕相続、合併・分割があった場合

 相続による事業承継が合った場合において、被相続人により行われた課税仕入れ又は特定課税仕入れについて、仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その相続人が行った課税仕入れ又は特定課税仕入れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けたものとみなして、仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の控除の特例を適用する。

 なお、合併・分割による事業承継があった場合も同様に取り扱う。

 

 

 

【解説】

〔1〕返品した場合の控除について

事業者が行った仕入れに不備があり返品とかしてもらった場合には、その返品金額を返品した日の課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額とみなして(課税仕入れからマイナスして無理やり課税仕入れ等の税額の合計額とする)、仕入に係る消費税額の控除を適用する。