〔1〕貸倒れに係る税額控除  

 事業者(免税事業者を除く。)が、国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等及び輸出免税取引を。)について、その課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権につき貸倒れの事実が生じたため、その貸倒れとなった課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部が領収できなくなった場合には、その領収できなくなった日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額からその領収できなくなった課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額の合計額を控除する。 

 なお、その領収できなくなった課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額は、税込価額に7.8/110 (軽減対象資産の譲渡等に係るものは、6.24/108)を乗じて算出した金額とする。 

 

〔2〕書類の保存  

 (1) 内容  

 〔1〕は、その債権につき貸倒れの事実が生じたことを証する書類の保存を要件とする。 

 ただし、災害その他やむを得ない事情により保存することができなかったことを証明した場合は、この限りでない。 

 (2) 保存期間

 その書類を領収できなくなった日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。 

 

〔3〕相続、合併・分割があった場合

 相続による事業承継があった場合において、被相続人により行われた課税資産の譲渡等に係る債権について、貸倒れの事実が生じた場合には、その相読人が行った課税資産の譲渡につき貸倒れが生じたものとみなして、貸倒れに係る税額控除を適用する。 

 なお、合併・分割による事業承継があった場合も同様に取り扱う。 

 

〔4〕回収債権に係る消費税額の加算

 貸倒れに係る税額控除の適用を受けた事業者が、その貸倒れとなった課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部を領収したときは、その領収した課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。 

 

〔5〕貸倒れの事実 

 (1) 更生計画認可の決定などによる債権の切捨てがあったこと 

 (2) その他一定の事実





【解説】

 課税資産の譲渡等に係る売掛債権等が貸倒となった場合には、その取引がなかったものと同じであり、無償取引と変わらない。

よって、課税標準額に対する消費税額から控除する。