ダウト ~あるカトリック学校で~ | リリィのシネマBOOK

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ぐうたら主婦リリィが、気ままに綴る、映画レビュー
劇場観賞は月平均5・6本、洋画贔屓かな


DVD鑑賞しました
 
ダウト ~あるカトリック学校で~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
製作国/アメリカ(2008年)
 
原題/DOUBT
 
監督/ジョン・パトリック・シャンリー
 
キャスト
メリル・ストリープ (シスター・アロイシアス)
フィリップ・シーモア・ホフマン (フリン神父)
エイミー・アダムス (シスター・ジェイムズ)
ヴィオラ・デイヴィス (ミラー夫人)   他
 
 
 
解説
劇作家ジョン・パトリック・シャンリィが9.11の衝撃とその余波が大きな影となって人々の心を覆ってしまった世情を背景に書き上げ、2005年のトニー賞、ピュリッツァー賞をダブルで受賞した名作戯曲『ダウト 疑いをめぐる寓話』を、シャンリィ自らメガフォンをとり、実力派俳優陣の豪華競演で、映画化した心理ドラマ
60年代のカトリック学校を舞台に、少年に対する性的虐待の疑いを掛けられた進歩的な男性聖職者と、心証のみで彼を執拗なまでに追いつめていく厳格な女性校長の息詰まる言葉の攻防がスリリングに展開していく
 
あらすじ
前年のケネディ大統領の暗殺や公民権運動の高まりなど激動と変革の真っ只中にある1964年
ニューヨークのブロンクスにあるカトリック学校でも、厳格な校長シスター・アロイシアスに対し、進歩的で生徒の人望も篤いフリン神父はより開かれた校風にしていくべきとの持論を展開していた
そんなある日、新人教師のシスター・ジェイムズは、学校で唯一の黒人生徒ドナルドを呼び出したフリン神父の不可解な行動に不審を抱き、シスター・アロイシアスに相談する
シスター・アロイシアスは2人が“不適切な関係”にあるのではと疑い、フリン神父を厳しく問い詰める
一方シスター・ジェイムズのほうはきっぱりと否定したフリン神父の説明に納得し、反対になおも頑迷にフリン神父への疑惑を深めていくシスター・アロイシアスの態度にこそ違和感を覚え始めるが・・・
 
 
 
 
リリィの感想 ★★★☆☆
 
 
感想
 
カトリックの学校を舞台に繰り広げえられる、心理戦と舌戦
受賞こそ叶いませんでしたが、メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ヴィオラ・デイヴィスの主要キャスト4人がアカデミー賞にノミネートされたことで話題になりました 
  
メリル・ストリープの演技が圧巻でした、改めて凄い女優です、その実力を遺憾なく見せつけられました
「マンマ・ミーア!」「恋するベーカリー」「ジュリー&ジュリア」の大柄で豪快、闊達な女性のイメージを念頭に置いて観ていたので、見事に裏切られましたね
本当に同一人物が扮しているんだろうかと、何度も画面に目を凝らしてしまいました
それほどシスター・アロイシアスは、いかにも神経質そうに眉を動かし、鋭い眼光に猜疑心を閃かせ、ぴんと正した背筋が堅苦しいさを物語っているかのような人物です
こけた頬、眉間や口許に刻まれた皺さえ、この熟年の女性が礼節を重んじて生きてきた歴史に変えてしまいます
 
もともと舞台劇、場面ごとに会話で進められていく演出の感じは、まさにそれです
カトリック系の学校で、周囲に馴染めず虐められる黒人の生徒ドナルドと、フリン神父の間に沸き起こった疑惑“いかがわしい関係”
証拠は一切ないが、シスター・アロイシアスは絶対的な確信を持ち、フリン神父を追い込み、問い詰める
 
フリン神父は実際に疑わしい
授業中にドナルドを個人的に呼び出したことで、純粋を地でいくようなシスター・ジェイムズでさえ、疑心を抱き、深めていってしまうほど・・・
だけどどこまでが本音で建前か、礼拝で説教するくらい弁が立つ人物だけあって、真実を煙に巻くのも達者
白か、黒か
結局はっきり明かされず、限りなく黒に近いグレーで終わる
 
しかしながら、人間の感情とは複雑なもので、シスター・アロイシアスがただ学校の格調や規律、もちろん生徒を守りたいためだけに動いていたのではないことは、一目瞭然です
最初から彼女は、由緒ある学校の古い風を一新する改革的なフリン神父を快くは思っていなかった
浮かび上がった疑惑は、シスター・アロイシアスとって、フリン神父を排斥する格好の材料であったからこそ、執拗に追及したのかもしれない
彼女自身も、そんな心の奥深くに罪悪を感じているからこそ、最後のシスター・ジェイムズへ懺悔の告解を吐いたのかもしれません
 
 
 


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