初読の方は1-1よりどうぞ♪↓
http://ameblo.jp/rippu2/entry-10955801752.html
・Illustration by のら
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2-4
弱りきった街灯は、時々その光を途切れさせながら宣教師【ミッショナリー】を照らしていた。照らす、と言うよりかは、浮かび上がらせる、と言ったほうが正しいかもしれない。
「思ったよりも早かったな、宣教師」
黒い修道服を着た男―― 彼女はクロノスとか言ってたか―― に話しかける。
「…やはり、我らの存在を知る者か」
クロノスが無表情のまま答えた。
俺は答えない。
「― 先刻より、教会【エクレシア】は貴様を洗礼【サルベーション】対象者として認定した」
薄い色素の入った髪以外、モノトーンに統一された男の中で唯一色彩を持つ唇が動く。だが、それさえも霞むように『影』はその色を濃くしていく。
「―― へぇ。それで?」
「……これより、我が『影縫』による、貴様の洗礼を行う」
宣教師の全身が、『影』に包まれる――
―― 攻撃は、右から飛んできた。
黒い塊のようなそれを、体を後ろに引くようにしてやり過ごす。
―― 続けざまに左。
まるでボクシングのワンツーを刻むかのように『影』の拳が襲いかかってくる。
だが、これは牽制にすぎない。
「よっ、と」
狙いすまして放たれた真後ろからの拳と、足元を薙ぐように唸る鞭を同時にかわす。もちろん、路地裏には俺以外の人影は見当たらない。
「姿を見せないで攻撃とは、なかなか、」
真下の『影』がうごめく。
「―― 洒落てんなッ!!」
足元から目の前に現れた黒い塊に蹴りを入れてやる。手応えと共に『影』が掻き消えた。
クロノス=ガラルドが街灯の下に現れる。
「…ふん。やはり、貴様の能力は予知系のものか。どれくらいの未来まで分かるかは知らないが、厄介だ」
黒い修道服のまわりの『影』が、意思を持つかのように揺らめいでいた。
「そりゃぁどうも。今みたいに姿を曝してんなら、言われる筋合いもあるけどな」
特に身構えることはない。男が動けば、こちらも合わせるだけだ。
「…なるほど。一理ある考えだ」
刹那、俺の真後ろから拳が迫る。
俺は片手を後ろに回して、手のひらでそれを受け止める。
「―― あんたは『影』を使った体の移動、ってトコか?」
…互いに、笑みがこぼれる。
「いいだろう。その能力、我が『影』の相手として相応しい」
「ははッ。俺なんかを能力者って言うなら、世の中みんな能力者だらけだぜ?」
『影』に再び、黒い修道服が沈んでいく。
―― クロノス=ガラルドの能力、おそらく魔法か何かだが、は全て『影』に依存する。
そしてその『影』は、影とは違う。
…クロノス自身も気がついていない、それが盲点だった。
―― 影から影へ、移動していく『影』。
路地裏という閉鎖的空間は、クロノス=ガラルドにとっては格好の壇上ということだ。
繰り返し撃たれる『影』の拳と鞭を避けながら、俺は『影』を視線で追う。
…この非日常でさえも、俺の理解の範疇は超えないらしい。
「結構、期待してたんだがな」
右側に移ってきた『影』がこちらを襲う前に、左手の掌底を構える。
―― 交錯のようにも見える、一瞬の肉薄。
「うらぁッ!!」
振り抜いた。
今度は『影』から、引きずり出す。
「……甘い」
だが、クロノスの身体が『影』から現れた瞬間、別の『影』が足許に集う。
「―― !?」
反撃に転じたばかりの俺に、足を動かし逃れる術は無かった。
「捕らえよ、『影牢』」
そのまま、『影』に呑まれた。
「…未来を視る能力か…いささか、貴様を侮りすぎたようだ」
例えるなら、それは漆黒のような黒。
影にしては濃すぎる色。
影自体に色も気配もつけば、それは影ではなかった。
正確に言えば、『陰』。
「…失うには惜しい。『影牢』の選択は正解だったか」
『影』に囲まれて、なるほど確かに『影牢』だな、と感嘆してみたり。
だけどさ。
もう理解ってしまったココに、用はない。
―― 闇を、引き裂く。
「…ったく、夜を選んで助かったのは俺の方かよ」
これが昼なら、眩しさに目がやられていた。
「…貴様、何故だ……何故、我が『影』に囚われぬ」
クロノスの表情が大きく変わる。…とは言っても、眉が少し寄ったぐらいか。
…あー、そうか、『影』だけじゃ動きは分かっても表情はまだ読めねぇか。うんうん。
「どうした?もうネタ切れか?」
険しい表情の黒修道服に鎌をかける。
クロノスはもう『影』に隠れようとはせず、静かに言葉を返した。
「…仕方あるまい。『影牢』が使えぬ以上、実力を以ってこれを洗礼する――」
その色白の顔に覚悟が見え、
――クロノスの背後で、何かが街灯の弱い光を受けて閃いた。
「うわおぉぅっッ?」
刹那、死線が俺の頬を掠める。
……理解るのが一瞬でも遅かったら確実に刺さってたぞ、アレ。
ホントにチラッとだけ、凶刃が通って行った後ろを振り返る。
凄まじい速さで壁に突き刺さっているはずのスローイングナイフは、どこにも見当たらない。
「…へぇ。制御できない能力は消し去る、って事か。洗礼【サルベーション】てのも、あながち間違ってないな」
…なら、俺のやってる事も無駄じゃない、ってワケだ。
ーーーーー2-5に続くーーーーーー
どうだったでしょうか?
今回はひたすらに戦闘でした。。。
と言うか長くなりすぎて、次回持ち越しにw
― ←コレが多くなって、筆力の無さを実感中…orz
のら様、
今回も素敵すぎるイラストをありがとうございます(嬉々)
ではまた来週読んでくだされー(>∀<)ノ
ノシ





