モスクワ近郊、セルギエフ・パサードから車で40分ほどいったところに、
バガロツカエ Богородскоеという町(村)があります。
※ロシア語ではアクセントのないоは「オ」ではなく、「ア」と発音するので、
ロシアでの発音は「ボゴロツコエ」ではなく「バガロツカエ」です。
そこでは15世紀から、木の教会や修道院の装飾品が作られていました。
18世紀半ば、商人エラフェイエフは、セルギエフ・パサードで40cmほどの木の人形を買い、
自分の店にディスプレイとして置きました。
思いのほか、その人形が高く売れたので、バガロツカエの木工職人に命じ、
菩提樹の木を使って木の人形を作らせたのが、
バガロツカエ木のおもちゃのはじまりです。
その後、物語や寓話を題材にしたクマなどの動物の人形や、
重りやヨーヨーの原理を使ったからくり人形が作られるようになりました。
1923年にバガロツカエに職業訓練学校「バガロツカエの彫刻 Богородский резчик」
が設立され、木彫りの技術が磨かれました。
現在は「バガロツカエ人民芸術工芸 Богородский народно-художественный промысел」
(企業名はバガロツカエ工場 Богородская фобрика)となり、芸術品やおもちゃなど
木工製品を職人のハンドメイドで作り出しています。
私と夫であるアンドレイ副店長がバガロツカエに行ったのは、2010年12月。
バス停から少し歩くと、バガロツカエの木の人形が上に乗った門と工場が見えてきました。
とんがり屋根の下に3体の木の人形が見えますか?
守衛さんに「見学予約をした」と告げると、さらに奥へ通されました。
アンドレイ副店長と私はドアを開けて、建物の中に入りました。