妻の仰天エピソード Vol.35 虚言癖の友人 | ジュンちゃんのひとりごと

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その日の気になったもの・出来事なんかを書いていきます

久々の妻シリーズですが、妻のエピソードでは無く
妻の同級生のエピソードです

ピ-ちゃん(妻)が中学の時の話

 

 


 

ある日、ピーちゃんの学校に、チャウチャウにソックリで、ずんぐりむっくりした体型のカコちゃんという女の子が転校してきた。
(チャウチャウ犬)


 



ピーちゃんはカコちゃんに

「どこから来たの?」

と聞くと、カコちゃんは

「遠い海外の島から来たの」

と答えた。驚いたピーちゃんは

「ホント?何で、ここに引っ越してきたの?」

と聞くと

「家がお金持ちで、親が世界的な仕事をしていてね。色んな地方を転勤しているから、またすぐどこかに行くかもしれないの」

と言った。
疑うことを知らない田舎者のピーちゃんは、カコちゃんの話す、知らない国の話や、お金持ちの生活の話を聞いて、こういうセレブな世界もあるんだな・・・と、胸を躍らせた。

後で分かったことだが、本当は裕福でも何でもなく、隣町から来た、貧乏な家の子だった。


その頃、学校では交換日記が流行っていた。
カコちゃんも仲間に入り、何日か過ぎたある日の事


 

友人がピーちゃんに
「交換日記に書いてあるカコちゃんの詩がとても素敵なのよ」
と言ってきた。

皆は、その素晴らしい詩に感動し、詩に興味を持つようになった。
もともと短歌や詩が好きだったピーちゃんも、興味があったので、どんなに凄いのかと期待した。
しかし、その詩を見てピーちゃんは驚いた

当時人気のあった「銀色夏生」という作家が監修した「詩集」の

まんまパクリ・・・

だったのだ。
ピーちゃんは事実を確かめる為に、カコちゃんに聞いた。


「これって・・・銀色夏生の本の詩・・・だよね」

すると、カコちゃんは悪びれることもなく、明るくこう言った。

「ピーちゃんには教えるけどね、私はこの詩集を書いた人の中のひとりなの」

ピーちゃんは苦笑しながら

「中学生がそんなの書けるわけ無じゃろ~、カコちゃんの名前も書いてないし」

と言うと、カコちゃんはさらに

「作者は匿名になってるから、私って分からないけど、この中のひとりが私なの。中学生だといろいろ問題があるから匿名で投稿してるの。」


と言った。
まるで、こう言われることを想定していたような見事な嘘だった。

よくもまぁこんな嘘が次々出てくるな・・・
ピーちゃんは呆れる反面、少し感心していた。

 
この件も、確認の取りようがないため、結局うやむやにされ、闇に葬られた。

今思うと、カコちゃんについては、色々と妙な点が多かった

親がお金持ちと自称する割には、お弁当が質素だったり、持っているバッグも汚くて安そうな物だったり・・・
それについても、カコちゃんは
 
 
 
「本当はヴィトンのバッグを持ってるけど、庶民の感覚に慣れるようにと、親がボロのカバンを持たせてるの」

などと言ってはピーちゃんを煙に巻いた。
 
嘘つきなのは分かっているけど、証拠がつかめない事ばかり言うので、結局、卒業するまでウソを証明することは出来なかった。
 


 
上沼恵美子ばりのユーモアと機転の利いた言い訳け
カコちゃんは、言わば嘘の天才だった。


 
 
それから、20年以上過ぎたある日のこと
 
ピーちゃんは、カコちゃんと市内で偶然再会した。
 
 
その姿は生活に疲れきったチャウチャウのようだった。
 

友人たちの噂では、貧乏な男と結婚した末に離婚したらしかったが、知らないふりをして近況を聞くと、こう返事が返ってきた。
 

 
 
「今はお金持ちの人と結婚して、十億円の家に住んでるのよ」


相変わらずの大ボラにピーちゃんは笑った。
何故にそうまでして嘘を付き続けなければいけないのか・・・

心の中で、嘘をついて悲しくないのか?とも思った

しかし、この子の人生は、こうしていくしか無かったのだろう
こんな嘘を言わないとやっていけない事情があったのかもしれない


ただ、カコちゃんのウソで、みんなが楽しい気分になった。

人を傷付けるウソは言わず、自分を中心とした「楽しい仮想の世界」をみんなと共有しようとしていたのかもしれない。
なんか、そう考えると、笑いがこみ上げてきた。

ピーちゃんは、離婚した事は聞かず、騙されてあげた。
ピーちゃんも離婚のことを知らないフリをし、カコちゃんに嘘をついた

そして、こう思った


嘘って


なんか



いいもんだね