このブログは、漫画「薬屋のひとりごと」9巻に対する感想を買いています。

こちらは中編です。

前回のブログを未読の方は、「薬屋のひとりごと 9巻 前編」をお読みください。

ネタバレ注意です。

 

 

とある日の翡翠宮では、侍女たちがたくさんの服や物を断捨離中。

高価な品々であっても、流行りが過ぎれば使えません。

 

こんなにたくさん捨てて大丈夫か心配するマオマオでしたが、隊商(キャラバン)が近々やって来て、その時に買い足すから問題ないとのこと。

 

後宮には商店がないため、私物を増やす機会はめったにありません。

そのため、移動商店であるキャラバンが来た時に買い揃えるのだそう。

 

なかなかない機会に、みんなのはしゃぐ空気が後宮内に広がります。

 

今回は5日間滞在するキャラバンですが、初日は妃やその侍女、役職のある女官など、上に立つ人たちが多く買い物をするようで、下っ端が買い物できるのはせいぜい最終日。

 

初日は小蘭と共にその様子をただ眺めて、マオマオは翡翠宮に戻ります。

 

上級妃ともなると、自らキャラバンに赴かなくとも、商人が様々な品を持って翡翠宮を訪れたようで、買い終えた品々が並んでいました。

 

その中で、購入した服たちを見て違和感を覚えるマオマオ。

普段の玉葉妃が好むようなデザインではなく、お腹周りにゆとりのある服ばかり。

商人はこれが今の流行りだと、他のデザインの物は待ってきていなかったようですが…

 

「玉葉さま 明日は帯をしっかり締めるデザインのものがあるか 聞いたほうが良いと思います」

 

その言葉にハッとする玉葉妃と侍女頭。

 

そう、単なる偶然なら良いのですが、玉葉妃の妊娠を探るために、わざとお腹周りに余裕のある服ばかり待って来たのだとしたら…。

 

妃の妊娠は極秘事項です。

知られた結果、お腹の子を殺そうと毒を盛られた事もある玉葉妃。

マオマオの助言にピリッとした空気が流れます。

 

念には念を。

マオマオ、そういう所にも気づくの、侍女としても優秀〜!!

もし毒を盛られても、毒味役がマオマオである時点でだいぶ安心ではあるけど…何もないに越した事はないもの。

色んな思惑が渦巻く後宮内、気を付けていきたいよね。

 

数日後、小蘭に誘われていたマオマオは、玉葉妃からもらったお小遣いを持って、最終日のキャラバンを周ります。

 

マオマオの欲しがる薬草の類は恐らく売っていませんが、香辛料ならあるだろうと、値切りつつ様々な物を購入していくマオマオ。

 

最後に目に止まった物を指差し、

 

「「これ ください」」

 

マオマオの声に重なったのは…

 

「あーっ!猫ちゃん元気?」

 

前に子猫を捕まえてくれた女官でした。

 

小蘭は知り合いだったようで、彼女を子翠(シスイ)と呼んでいました。

 

指差していた物を購入し、医局でゆっくり話をすることにした3人。

 

先ほど購入した物は、ジャスミン茶。

蕾にゆっくりとお湯を注ぐと、花が咲くように広がっていきます。綺麗〜!

 

医局のやぶ医者おっさんは、甲斐甲斐しくお茶菓子を準備してくれました。

普段は宦官だからと冷たい目で見られる事も多いようですが、小蘭も子翠も普通に接してくれたのが嬉しかったよう。可愛いな、おっちゃん。

 

話の中で、後宮の北側で変な匂いがすると言う子翠。

そんなところに行く用事があるのか尋ねる小蘭に、

 

「へへへ あっちは草むらが多いのだよ」

 

そう言いながら子翠が取り出したのは…

 

虫のリアルな絵が描かれた紙の束です。

ドン引きする小蘭とやぶ医者。

 

「上手だね」

 

マオマオだけは通常営業で、(図説みたいだ)と考えながら描かれた絵を見ていきます。

 

虫は薬の材料にもなるらしく、うら若き乙女とは思えぬほど平気な顔です。

それどころか、手入れのされていない北の廃墟にはでっかい蜘蛛がたくさんいるよ!という子翠の言葉に目を輝かせます。

 

うずうずしていると、

 

「行く?行ってみる?」

 

と子翠からお誘いが。

 

「行く!行ってみる!」

 

二つ返事で応えるマオマオ。

変な女の友情が芽生えた瞬間でした。

 

そうして5日間のキャラバンは去って行きました。

後に残ったのは…

 

「 く さ い 」

 

「わかる。 ねぇくさいってどう書く?」

 

キャラバンの残した香油が大流行していました。

香油まみれの衣装を洗う洗い場はひどい匂いです。

輸入品は香りが強く、単品なら良い香りでも、混ざり合うと本当にくさいよう。

洗い場の隅っこで小蘭に文字を教えながら、顔をしかめるマオマオ。

 

今なら前に作った薔薇の香油が売れるか?なんて考えていましたが、様々な衣装からの香りに、ハッと何かに気付きます。

そしてそのままダッシュで水晶宮に。

 

何をしに行ったのかと思えば…

 

「お前はもう少し節度がある人間だと思っていた」

 

「すいません。つい興奮して」

 

壬氏から怒られるマオマオ。

 

なんと、水晶宮に乗り込み、手当たり次第に侍女たちの匂いを嗅ぎまくったそうな。

 

いやそりゃ怒られるよ?!

何してんのマオマオ!!

と思いましたが、もちろん理由があっての事です。

 

『薔薇 青桐 乳香 桂皮 安息香』

 

書かれたメモには香の名前。

水晶宮の侍女たちがつけていた香油の名前だそうですが、これらはどれも、微量だけれど、妊婦に害のあるものばかりだそう。

 

更に、売られていた香辛料や茶葉の中にも、妊娠中は飲まない方がいい物、堕胎剤にも使われているものなどがありました。

マオマオ達が飲んだジャスミン茶もその一つ。

それらは、確実に流産させるためのものではなく、妊婦でない者が使う分には何も問題ありません。だからこそ持ち込まれた。

けれどそこに、知られない副作用がある。

 

そうまるで、毒おしろいの時のようにーーー。

(※「薬屋のひとりごと 1巻 前編」参照。)

 

マオマオの話を聞いて、不穏な空気が漂い始めます。

単なる偶然か、それとも、誰かがわざと妊婦に害のある物を持ち込ませたのか。

今の段階では何の確証はありません。

確証の無いことは言えない、言いたくないマオマオ。

 

(逃げだったとしても 確証のない自分の言葉で 誰かが罰せられるのは嫌なのだ)

 

考え疲れたマオマオは、夜に厨房で1人、ジャスミン茶を淹れていました。

 

「それは毒ではなかったのか?」

 

そこに現れたのは麗しのイケメン宦官・壬氏です。

 

「毒もまた 少量では薬です」

 

俺にも同じものを淹れてくれと頼む壬氏ですが、あいにく最後の1つだったため、仕方なく別のお茶を淹れ始まるマオマオ。

出がらしでもいいと壬氏は言いますが、そんなわけにはいかないよね。

 

淹れてもらうのを待つ間、壬氏はジャスミン茶の効能について尋ねます。

 

心を安らげる、不眠にも効くし目覚めの効果もある、妊婦には良くないが、出産の際には分娩を促す…

 

良い効能が多いからこそ、副作用を見落としやすいとマオマオは言います。

 

言いながら淹れ終えたお茶を出すと、

 

「出がらしでいいと言った」

 

拗ねたように言う壬氏。

子どもか。

 

そんな壬氏に効き過ぎた皮肉を言うマオマオ。

ムッとした壬氏は、ジャスミン茶を一気に飲み干して帰ってしまいました。

あーあ。

 

宦官設定の壬氏には皮肉が効き過ぎたのでしょうか?

 

と、今回はここまで。

 

どんな皮肉を言ったのか気になる人は、是非とも漫画「薬屋のひとりごと」読んでみてね。

 

続きは「薬屋のひとりごと 9巻 後編その1」へ!