このブログでは、漫画「薬屋のひとりごと」8巻に対する感想を書いています。
こちらは中編となります。
前回のブログを未読の方は、「薬屋のひとりごと 8巻 前編」をご覧ください。
ネタバレ注意です。
酒を飲んでぶっ倒れた羅漢が目を覚ましたのは、緑青館の一室でした。
お酒のせいでズキズキと痛む頭を抱えながら、マオマオとの勝負を振り返ります。
(恨まれても仕方ない それでもそばに置きたかった)
(そのためにずっとやってきたのだ)
(けれど今回は諦めよう しかし いつか必ず取り戻す)
まだまだ愛娘を引き取ることが諦められない様子の羅漢。
ついでに、将棋の試合中、マオマオの肩に手をかけていたという理由だけで壬氏に腹を立てています。(笑)
腹いせに何をしてやろうかと考えているところに、「お目覚めですか?」と部屋の主から声がかかります。
緑青館の大人気妓女の一人、梅梅(メイメイ)です。
美しい梅梅の顔ですが、羅漢の目にはのっぺらぼうのように映ります。
梅梅は幼い頃、鳳仙の禿だったようで、当時から羅漢に遊んでもらったりと、面識があったようです。
10年かかって緑青館への賠償金が払い終わった羅漢を、最初に部屋に入れてくれたのは梅梅だったそう。
鳳仙を孕ませたあの日、席を外して二人きりにしたのは梅梅だったため、罪悪感を感じて気遣ってくれているのかもしれない、と羅漢は考えます。
梅梅から渡された薬を飲むと、あまりの苦さにむせる羅漢。しかし、それがマオマオの作ったものだと分かると途端にニヤニヤが止まりません。娘のこと溺愛やん。
そこへやってきたのはやり手婆。
「うちの妓女を身請けしようってんだ 銀の千や二千で買えるもんじゃないとわかってるだろうな!!」
相変わらずの守銭奴ぶりです。
「わかってるよ」
「銀一万で足りなければ二万でも三万でも」
李白には払えない額でも、羅漢にとっては余裕のよう。
(さすがに十はちときついが)
なんて考えているようだけど、『ちときつい』くらいで済むなんて、さすが、軍部の高官は違うね。
好きなのを選ばせてやる、と言われ案内された場所には、緑青館の妓女たちがずらりと一列に並んでいました。
その列に梅梅も加わります。
そこに並ぶ色とりどりの妓女たちですが、羅漢には識別できず、どれも同じように着飾った碁石にしか見えません。
しかし、マオマオとの賭けに負け、妓女を一人選ばなければいけません。
ならばせめて、世話になったお礼に、と梅梅に手を伸ばします。
しかし、その直前
「羅漢さま」
梅梅の言葉に動きを止める羅漢。
「選ぶなら ちゃんと選んでくださいね」
そう言いながら、なぜか窓を開ける梅梅。
風にのって、かすかに歌声が聞こえてきました。
その歌声を聞いた途端、窓から飛び出し、声の方へ一直線に走り出す羅漢。
(知っている このうたを この声を!)
必死に走り、たどり着いた離れの小屋の扉を開けると、そこに居たのは…ーーー
「婆 十万でも 二十万でも いくらでもいい」
「この女で頼む」
もう二度と会えないと思っていた、羅漢の最愛の女性・鳳仙です。
梅毒に侵され、その姿は変わり果てていますが、羅漢の目に映るのは当時のままの美しい姿。
喜びに涙を流す羅漢。そして、そんな羅漢を切ない目で見つめる梅梅。
「私が期待する前に 終わっていれば良かったのにっ」
そう言って、静かに泣き崩れます。
あぁ…梅梅は羅漢のことが好きだったのね…。
罪悪感からではなく、恋心から羅漢に接していたのか。
そして、そんな羅漢に身請けされるのは、梅梅にとっては願いが叶うようなものだったのに、鳳仙の居場所が分かるように自ら誘導して失恋、かぁ…切ないね…。
でも、選ばれたところで素直に喜べないよね、梅梅としても。
切ないけれど、良かったのかもしれない。だって、
「婆 私はこの妓女を身請けするよ」
「鳳仙花のように美しい この女をーーーー」
そう言う羅漢の幸せそうなこと。
良かったね、羅漢。
マオマオはこうなることが分かっていたのかな?
だとしたら、運命に引き裂かれた男女を再び結びつけた立役者が二人の娘、って事でしょ?よくできとるわぁ~。
長い年月がかかったけど、ようやく羅漢が鳳仙と再会できたところで、今回はここまで。
続きは「薬屋のひとりごと 8巻 後編その1」へ!