RB26のトラブル | RiO

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夜空のきれいさは、ちょうどこんな感じ。
乗りやすいGTRにこだわって、設備や認可のために山奥に移転しました。戸惑いもありましたが、今ではすっかりこの環境に馴染んでいます。耐雪梅花麗。日々勉強。
地下水でいれたコーヒーを是非飲んでみてください。

スカイラインGTRに搭載されているエンジン(RB26DETT)は、

登場してからすでに30年を経過し、

通常であれば「古いエンジン」として歴史に埋もれてしまいそうですが、

いまだに人気は健在。

このエンジン用の新たな部品、

カムシャフトとかタービンとかオイルポンプとか

新しい設計で登場する現状は、

本当にすごいことだと思います。

しかし、さすが消耗が目立ち

新車から未交換の部品については、

「これは危ないなぁ・・・」と

嫌な汗が出ることもあります。

 

ちょっと前に預かった「Yナンバー」のBNR32は・・・・

参考までYナンバーについて、

山口県や広島県で見かけるYナンバーは、

ほとんどが山口県岩国在日米軍基地の関係者の車です。
「Y」なので、「ヤンキーのY」と言う人がいますが、 (笑)

それは違うみたいです。

最初に国内で登録されたのが横浜なので「Y」らしい・・・。

しかし、実際に岩国基地のアメリカの人に尋ねても

彼らもはっきり分からないそうです。

 

そのBNR32は、吹き上がり不良で

アイドリングも安定せず

アクセルオフでそのままエンジンがストールする症状で

「エアフロの気がするなぁ・・・。エアフロだろうなぁ・・・・」

と思いながら故障診断すると

「エアフロ異常」が表示されました。

こうなると話は簡単で、エアフロを交換すれば良く、

純正エアフロに交換する方法が簡単ですが、

R35エアフロに変更する方法、

コンピューターのプログラム書き換えが必要ですが、

性能面ではメリットがあり・・・・

センサーは逆に純正よりも大きく安いので

総額では近いところもあり、

そして、「英語で説明」の障壁について、

う~ん・・・と、唸っていたら

アメリカ人のオーナーさんから

R35エアフロの指定がありました。

ご存知だったみたいです。

 

インジェクター、イグニッションコイルともにノーマル、

ブーストアップもなく、

エアフロだけの交換であれば

プログラム変更はそれほど難しくありません。

走行が18万キロ、

本当はエンジンを降ろして

あちこちメンテナンスもしたいのですが、

その件については、「将来やります!」とのこと。

故障診断ではO2センサー異常は無かったものの、

正常範囲ぎりぎりの数値だったため、

現車セッティングを前提でプログラムによる無効化を実施。

ですが、気になるのは燃料ポンプです。

約10万キロの走行で純正の燃料ポンプは性能がダウンし、

安定した燃圧が得られないケースが多く、

その状態で目標とする空燃比を実現・・・の場合、

通常よりも長い噴射時間が必要になったり、

加給圧に燃圧が負けて

噴射時間を増やしても空燃比に反映されないこともあります。

希薄燃焼は危ないですから。

少し前のニスモの大幅値上げした燃料ポンプですが

旧価格の在庫品、ラスト一つがあり、

それを説明すると理解してもらえたみたいで、

握手までされました。

 

R35エアフロに交換し、

セッティング機材と空燃比計を装着、

少し走ってみると問題なく走ります。

これはすぐに仕上がる予感・・・とか思いながら

しかし・・・・データーロガーで記録した

ノックセンサーからのエンジン振動のグラフを見ると

特定の回転数で激しいノッキングが出ていました。

体感や音ではまったく分からなかったのですが、

グラフでは明らかに異常です。

この時のグラフを撮影しなかったのは

ブログでの説明材料の損失、

大失敗です。

 

RB26DETエンジンには、

二つのノックセンサーが装着されています。

こんな部品です。 ↓

 

エンジンブロックの2番と5番のシリンダー側面に

前後で2個、ボルトでしっかりと固定され、

エンジンの振動を電気信号に変換し

コンピューターに伝える仕事をしています。

エンジンがピストンの上下運動でパワーを作る行程で

発生した振動を検知し信号化するため

エンジン回転数が大きいほど

同じ時間内での振動数(ギザギザ)が増え、

高ブースト、高回転時ほど振動は大きくなり(高さ)

出力も併せて大きくなります。

 

このノックセンサーからの信号は

正常な状態では、

エンジン回転数と似たグラフのラインを形成しますが、

何らかの理由で点火時期が正常値よりも早くなったり

燃料の割合が大幅に減少した場合、

ピストンが上死点に到達する前に燃焼は完了し

全速力で上がろうとするピストンに

カウンターパンチを入れるように力が発生、

エンジンにダメージを与えることもあります。

その際のグラフは

大きな衝撃のため短時間で縦に大きく振れ

エンジン回転数とはまったく違う形状になり、

ノックセンサーからの信号で形成されたグラフにより、

目視で見落としなく確認することができます。

 

湾岸ミッドナイトという漫画では

名チューナーが走行中の車内や

走り去る車の音を外から聞きながら

 

「む?!ノッキングが・・・!!!」

 

というシーンがありましたが、

自分にはそのような鋭敏な感性などなく

ひたすら・・・

機械に頼る!

銀河鉄道999の鉄郎みたいに

機械の体をもらわず

機械に頼る!

これが一番安全です。

 

YナンバーのBNR32の燃料ポンプを交換後、

R35エアフロ×2に交換後、

コンピューターのプログラムを基本データーに書き換え、

データーロガーを装着して

まずは軽く走行し、

データーロガーの記録をノートパソコンに入力し、

情報をグラフ化すると、

明らかなノッキングがグラフ上に現れていたのです。

4000RPM付近・・・・

 

そんなはずはない・・・・。

点火時期のマップを確認するも、

そのような数値の入力はなく、

原因、まったく不明。

なに?なに?これなに?

ハーフアクセル時、

それほどの高回転でも無いのに・・・・

ストリートではたくさん使う領域で

運転している際の危ない気配はゼロ、

しかし・・・何か重たい感じはあったなぁ・・・と。

後に空燃比と点火時期の調整で直そう!

とか思っていましたが、

まさかのノッキング。

 

そして、いろいろと調べてみて

ついに原因を発見。

これです ↓

 

クランク角センサー

・・・・

正確にはエキゾースト側のカムシャフトにつながっているので

カム角センサーですが、

この位置に装着されている部品です。 ↓

 

この部品、

光学センサーという当時としては最先端のシステムで

光が穴を通る際にセンサーが反応し

位置を割り出すのですが、

軸のベアリングやセンサー、受光部のガタ

穴の空いたプレートの変形等で

数値がずれてしまうことがあり、

しかし・・・・・情報をもらったコンピューターは

そのような地方での反乱に気づかず

燃料噴射や点火タイミングを指示するため

先のようなノッキングを発生させてしまうのです。

 

そして、交換すると

何事も無かったかのうようにノッキングは消え、

全体的にフィーリングが軽くなり、

すべての原因はこれだったようです。

 

何か・・・これに代わるセンサーは無いのかと・・・・、

いつものR35流用は無理です。

フライホイルにセンサーのウケの側があり、

ハウジング側にセンサーがあるまったく違う構造で、

それなら、

RB26DETのクランクプーリーに何かの素材を貼り付け、

外側にセンサーを取り付けて・・・とか考えたのですが

遠心力とか汚れとか、長期的な耐久性や

そして誤差、精度。

それらを行う際に発生する費用とか考えると

純正が良いなぁ・・・と思うのでした。

 

壊れる前に交換しておいて、

壊れていないセンサーはまさかのための予備・・・みたいな、

予算が許せばそれも有るのかも知れません。

 

 

 

 

  (続きます)