丸亀製麺は実は香川県の会社ではない。
これを初めて知ったのは、香川でうどんを食べていたときに、地元の人から教えられたときだった。
その瞬間、「えっ、そうなの?」と驚くと同時に、「うまいことやってるなぁ」と感心したのを覚えている。
もちろん、誰が「丸亀製麺」という名前をつけても法的にも道義的にも問題はない。
だが、「丸亀」という名前を聞いただけで、私たちは自然に「香川の人がやっているのだろう」と思い込んでしまう。
その“思い込み”を逆手に取ったブランド戦略こそが、まさに絶妙なのだと思う。
これは私だけの感想ではなく、多くの人が同じように感じているだろう。
「讃岐うどん」と聞けば「丸亀」を、「丸亀」と聞けば「香川の本場の味」を連想してしまう。
この連想の連鎖は、誰にも止められない自然な流れであり、そこにこのブランドのうまさがある。
しかも、「讃岐うどん」と名乗らず、「丸亀製麺」とすることで、より親しみやすく、地元色を残しつつも全国に受け入れられるようになっている。
「製麺」とだけ言うそのシンプルさがまた絶妙で、「香川っぽい」「本場っぽい」という“っぽさ”をかもし出している。
この“っぽさ”こそが、実は多くの人の心をつかむ鍵なのだと思う。
アイディアの喉越しの良さ
人々は本物を知らなくても、“本物っぽさ”を感じるだけで満足できる。
そしてこの考え方は、実は英語にも通じる。
もし香川の人たちが本当に手間ひまをかけて、地元の材料と技術で最高のうどんだけを作っていたら、価格は高くなり、一般の人々には届かなくなっていたかもしれない。
しかし、別の地域の人が「丸亀製麺」という形でそれを語り直したからこそ、全国の人が手軽に讃岐うどんを楽しめるようになったのだ。英語学習もまさに同じで、本場すぎる、完璧すぎる英語を求めると、多くの人には届かない。
だからこそ私は「70点英語」を提唱している。つまり、まぁまぁでいい、完璧じゃなくてもいい、その“まぁまぁ”をきちんと仕上げようという考え方だ。丸亀製麺のように、「本場っぽい」けれど手軽で、みんなが楽しめる英語。それが私の目指す70点英語の姿であり、言ってみれば「英語版の丸亀製麺」なのだ。完璧ではなくても、十分に人の心に届く。そんな“うまい”英語を広げていきたいと思う。